196 ヨーロッパ研修・6(おまけ)
前回で、ヨーロッパ研修を終わりにしようと思ったのですが、どうも終われなかったようで、おまけを書きたいと思います。

とんでも八分!ファット8ップン、私は発奮

ゲートを閉めたと告げられて…

「すべては終わった。さあ、日本だ!」という感慨を含んだ気持ちから、いきなり奈落の底に落とされた感じです。

ソフトクリームを食べながら長椅子に横たわっている状態から、いきなり3千メートル競走のスタートを切らされたような感じのような…

「あっ、予定していた教室が間に合わない。みんなに迷惑をかけてしまう。どうしよう。」

頭の中をいろんなことがぐるぐる回りながら、あり得ない自分の状況を受け入れるのに、少々時間がかかりました。

それでも、気持ちを切り替えるしかありません。

そして、突然訪れた現状を打開していくしかありません。

といっても、私にできることは、ただ、黙ってカウンターの前で職員の人たちの手続きを見守ることでした。

しばらくすると、

「本来はできませんが、ロンドン−成田間の次の日のチケットに変更しました。」

「変更手数料として、140ユーロいただきます。」

パリ−ロンドン間は後の便で行ってもらいますが、ちょうどイースター休みの終わりと重なって満席なので、キャンセル待ちになりますから、この時間にカウンターにまた来てください。」

何とかなりそうだ、いろいろ大変だが、この際仕方がない。これですべては解決する。

安堵感とともに、教室の方にキャンセルの連絡を入れ、しょげていても仕方がない、と気持ちを切り替えて、2時間ほどの待ち時間をそばの椅子で、空き時間に仕事するぞ、と気合を入れて待つことにしました。

言われた時間に行くと、「残念ながら座席の空きはありませんでした。次の便を待ってください。」次の待ち時間を告げられ、また仕事しながら数時間待ちました。

そして、カウンターに行くと、「満席です。」

このやり取りを、昼の12時ぐらいから夜の8時頃まで延々繰り返した揚句、カウンターで、「残念ながら、飛行機は空いていませんでした、明日の朝の便も空いていないでしょう。」

「ここからロンドンまでの便がないので、あなたは明日のロンドン—成田便にも乗れません。」

…?!

来た来た来た!

やっぱりこれか、

一難去って、また一難!

絶体絶命!

でも、モードが切り替わっているので、それほどの驚きもなく、

さあ、これからどうなっていくんだろう、という何か、他人事のような、ドラマでも見ているようなワクワク感さえ生まれています(たぶん、やけになっていたのでしょう)。

「それで…」

「唯一の方法は、ユーロスターを使うことです。」

???

「ユーロスターを使えば、数時間でロンドンに着くので、始発の便で行けば間に合います。」

今度はユーロスター!

地面に穴があいて、空から光が差しかけてきたような感じでした。

気持ちを切り替えながら、新たにかかるお金の心配もしつつ、空港の駅のカウンターでユーロスターのチケットとユーロスターが出発する駅までの切符を買い、空港の待合室で一晩過ごすことにしました。

機関銃を持った兵士たちがときどき見周りに来ます。

チケットを見せろと言われて、見せると

「おまえは、ここから飛行機を利用しないのなら、ここの待合室を使うことはできない。」

航空会社の職員に、出来ると言われたのだが… と説明しても、聞き入れてもらえず、

「夜間カウンターの職員のところに行きなさい。きちんと説明してくれるだろう。」

次はこれか!

カウンターで一生懸命説明すると…

「OK」と言われ安どしてイスに戻り、辺りに不安を感じながら朝を迎えました。

朝早く、複雑で巨大でさっぱりわからないノルド駅に着き、何とかユーロスターの乗り場を見つけ、何とか(何とかのなんと多いことか)乗り込むことが出来ました。

憧れのユーロスター!! こんなところで乗れるなんて!! ドーバー海峡の下をくぐるなんて!!

嬉しさに、ウキウキです。

列車は、朝もやが低く垂れこめる平原の中を疾走していきました。

そこに射しこんでくる太陽の光が、今まで見たこともないような不思議な色合いを作り出しています。

やっと終わった。

いろんな思いが走馬灯のように頭の中を駆け巡っていきました。

PS この後は、嘘のようにすべてがスムーズに進んでいきました。

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