200ライア世界大会 an ボーデン湖 No.2

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ライアの世界大会が行われた、
このボーデン湖畔にあるシュタイナー学校は
私が30年ほど前に最初に訪れたシュタイナー学校です。
その当時、私は公立中学校
(と言っても島の小さな学校)の教師をしており、
公立学校の教育方針と
自分の考えとのギャップに悩んでいる頃でした。
大学2年の時に日向ぼっこが趣味の内
向型から外向型に転換した私は、
内的世界の旅から自分の身の回りの世界への関心に移っていきました。
大学を休学して、一年間日本をさまよった後、
大学に戻り、教師になりましたが、
自分がそれまで培ってきた世界観と
実際の教育現場との違いを感じながら、
どうやって自分が正しいと思うことを行なっていけばいいだろうか
と考えました。
その当時は、若いこともあり、
学校という、結局守られた環境の中で、
けっこう型破りの教師のつもりになっていました。
今考えると恥ずかしい限りですが…そんな中で、

ドイツへのシュタイナー学校の見学の旅、

という企画が舞い込んできました。

ちょうど夏休みの期間中でもあり、

早速応募することにしました。

自分の考えで、今の公教育と違う教育方針を考え出すに

はあまりに未熟で、

このシュタイナー教育がそのためのヒントにならないだろうか、

と考えました。

でも、そのためにはこの教育が

本物かどうか確かめなければならない。

そのためには、自分の目で見、耳で聞き、肌で感じ、匂いを嗅ぐ

必要があります。

外的にはとてもよさそうに見えても

実際に見てみると大したことがない、

と思える体験をしてきた私は、

どうしても最初に本物かどうか確認する必要があったのです。

車を買うという理由で、

学校の基金からお金を借り、

東京で教員研修を受けるという名目で

当時流行り(?)のカラ出張をし

(もう時効だと思いますが、ごめんなさい)、

そのままドイツの研修に参加しました。

外国に行くのも初めてな私は、

日本をさまよっていた乗りで、

小さな手提げ一つで出かけました。

 

空港の係の方に、「ところで、荷物はどこですか?」

と言われ、「これです。」と言って驚かれるのを楽しみにしていました。

エジプト航空という航空会社を使い、

カイロに一泊し、ピラミッドを見学した後に、

ヨーロッパに到着しました。

当時もチューリッヒの空港だったように思います。

シュタイナー運動のセンターである

ドルナッハを訪ねた後、このシュタイナー学校の見学をしました。

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見る物、聞くもの、

すべてが珍しいものばかりでした。

当時、出来て一年ほどのこの学校は、

木作りでとても美しく、

「このような独創的で美しい建物が

実際に存在していたんだ。」

と大きな衝撃を受けました。

日本は夏休みでしたが、こちらはまだ学校があっていて、

10年生ぐらいの授業に参加させていただくことが

出来ました。英語も満足にできませんでしたが、

授業や子どもたちの様子などを見ていて、

この教育が本物であることを確信しました。

参加していたクラスの中の

一人の男の子と仲良くなりました。

彼はシュタイナーの障害者施設に

両親と住んでいて、私をそこへ招待してくれる

という話になりました。

彼と一緒にスクールバスに乗り彼の家に辿り着くと、

お昼を作ってくれました。

これまでドイツで食べた料理の中で一番おいしく、

「ああ、味覚というのは共通しているんだ。」と納得しました。

10人ほどの障害者の人たちに囲まれての夕食が始まりました。

夕闇がせまる食堂の中で、ローソクの明かりだけでの食事でした。

その後で、その男の子は私に言いました。

「ボクは、将来演劇の勉強をしようと思う。」

「ボクはクラスの中でとても孤独だ。」

「同じクラスの人たちは、幼すぎて話が出来ないんだ。」

その話は、今ではその子の表情から語られてきたような、

不思議な感覚でした。

お互いに住所を交わしながら、

それから二度と連絡をすることはありませんでした。

彼の突然の話、

彼の個性的な言動に少し引き気味だった自分も感じていました。

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なんだか、変な方向に話が流れていきました。

そんな、思い出の詰まったシュタイナー学校も

30年を迎え、再びこの地で、今度は違った人々と出会う機会がありました。

400人近くの参加者の中で、

ふとした立話から、深い話に入っていくことがありました。

それぞれ、しっかりとした自分の考えと

世界観を持たれているのに感心します。

会場で、目を合わせるとみんなにっこりとほほ笑みます。

今では、個人としての話に引き気味になることはありません。

少し成長したのか、とも思います。

人と接することが苦手だった自分が、

教師という道を選び、店を営業して、

たくさんの子どもたち、

人たちと関わらせていただいているのが、

嘘のようでもあります。

一生かけて、自分の課題と取り組んできたようでもあります。

そんなことを思わさせられた大会でもありました。

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