208 移り変わるもの

「星がきれいだね。」

そうだね。

「クリスマスって星空が似合うよね。」

「イエス様がお生まれになった

馬小屋の周りには星がたくさん輝いているし。」

クリスマスツリーにもたくさんの星が輝いているしね。

一度、山の中で一本の木を透かして

星が輝いているのを見たことがあって、

これってクリスマスツリーみたいだ、って思ったことがあったんだ。

今年は、木星がおうし座の角のあたりに明るくかがやいているよね。

「えっ?木星って見えてるの?」

そう、星たちに混じって、あるときは明るく、

あるときは目立たないように…

じゃ、どうしてそれが木星や他の惑星だっていうことが分るの?

それは、惑星って名の通り星空の中をフラフラと渡り歩くからさ。

「えっ?じゃあ、星空を見ていると

流れ星みたいに動いている星があるってこと?」

いや、そんなに早くは動かない。

星を見ているだけではどの星が惑星かわからない。

でも、一回見て、星座を覚えて、

何週間か経ってまたその星座を見たときに

場所を変えている星があるんだ、それが惑星ってわけ。

「それって星座の形が少し変わるってわけ?」

そうそう、今日は冴えてるじゃん

「…」

一回見ただけではわからないものってあるんだよね。

移り変わっているものを見て初めて分かることがある。

一人の人を見ても一度見ただけでは

その人がどのように変わっていこうとしているか見えない。

何度か会った時に、前回と違うことで、

その人がどのようになろうとしているかわかるよね。

何年か前に、屋久島に日食を見に行ったことがあってね。

残念ながら曇りで太陽がどれほど欠けたかわからなかったんだ。

ただ、辺りがどんどん暗くなっていくことで

太陽が欠けているだろうことが分った。

どんどん暗くなって、今皆既日食になった、

って時間から急に当たりが明るくなっていったんだ。

 

ギュッって暗さが凝縮していって、

急に「お開きですよ、おしまい、おしまい」

って幕あけられた感じ。

 

暗くなっていく速度と明るくなっていく速度、

って同じぐらいだろうって思っていたから、

驚いてしまって、なぜだろう?なぜだろう?って考えたわけ。

 

そして、考え付いた。

暗くなっていくときにはその暗さに

目が慣れるためにより暗く感じたんだろう、って。

それで、急に方向が変わって、

明るくなり出したとたん。

目は暗闇に慣れているから急に、

そして実際よりも明るく感じ始めるんだろうって。

だから、闇に向かっていく今の時期は

より暗さを感じ、冬至を過ぎた途端に、

何かが明けたように明るくなっていく感じがするんだろうって思った。

真夜中にイエス様がお生まれになり、

それから世界が開かれてく感じでもあるし、

新年を迎えて初詣に行って鈴を鳴らす感じかも。

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