214 ハクモクレンとコブシの花

花盛りだね。桜の花も咲き始めた。

ピンクの色合いの花の中に

シロモクレンとコブシの花が一際清楚に咲いているね。

「それシロモクレンじゃなくて、ハクモクレンって言うんだよ。」

そうか、そのハクモクレンの花が深い青空の中に

その透き通るような白を輝かせる様は得も言えぬ感じがあるな。

空まで、何か透明なもので包まれていくような。

それに比べるとコブシってハクモクレンに比べたら、

なんだかちょっと落ち着きがない、というか…

パーマきつくかけました。みたいな。

「コブシってあんまり好きじゃないってこと?」

そうだね、モクレンに比べたら、

あまり名前になじみがないというか…

東北の春には出てくるけれど、

自分の身のまわりにはあまりないのかな、って思ってた。

でも、意識し始めると、いろんなところにあるんだな、って思えてきて。

この前コブシがたくさん咲いている公園に行って来てね。

そこにはハクモクレンの花もあったんだ。

そこで、しっかりコブシを見ることができて…

そしたら、コブシもいいなーって思えるようになった。

おまけに、コブシの花の時期が過ぎて、茶色の斑点が出始めてもきれいだし…

それこそ、この前不思議な色の花が咲いている新種のモクレンか?

と思って出かけて見ると、

それは半分茶色になりかけた花が光を透かして

きれいなオレンジ色になって何とも言えない色合いを作っていた。

ハクモクレンが空に向かって開いていくのに対して、

コブシはお日さまを追いかけるかのように横向きに咲いたりする。

だから、その中のオレンジ色のお日さまの輝きのような

おしべとめしべの中心を私たちに見せてれる。

白い色に映えて、とてもきれい。

木も、モクレンに比べると枝先に勢いがあり、

枝ぶりの中心には葉芽が付いて、ぐんぐん伸びていく感じがある。

*  *

ハクモクレンの谷

その入り口には昇り始めの満月のような、

おぼろ月のハクモクレンが立っている。

その横を抜けると、一旦道が下がって、

ハクモクレンの谷へとやって来る。

外から見る満月のような塊とは裏腹に、

中は三日月のように中がすっぽりと空いている。

うっすらともやがかかる中、

夜気の湿り気の中に香りとして自分自身をとかしこむ。

モクレンたちが手を差し伸べる先には、空に沁み渡る月の光

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