218 再びドイツ研修 パート4

イギリスから飛行機でついたのは夜の9時、

場所はバルセロナ。

でも市街地から90kmほど離れた所。

そこからバスで更に1時間半ほどかけて

バルセロナの街まで走ることに。

バスターミナルに着くと人は散り散りに行ってしまった。

自分がどこにいるのか、さっぱりわからない。

人影もまばら。途方に暮れる。

現実の世界からタイムスリップしたような、不思議な世界。

英語が通じない。「メトロ?」といいながら辺りを指差して、

教えてもらう。この先に地下鉄の駅?

なにもなさそうに見える方向に歩く。

訳が分らず、つい、ニマーっと笑ってしまう。

重い荷物を引きずりながら、階段を上がり、

道路を越えるとそこにメトロの入口が…

頭に覚えたホテルの場所の駅名と照らし合わせながら、

結構近い。

「えっ?こんな近い場所に到着していたんだ!」

とたんに世界が現実味を帯びてくる。

嬉しさと、ほんのちょっぴり残念さ(?)と…

切符を買い、地下鉄に乗り込む。安どの気持ち。ホテルはもうすぐ…

少し中に入ろうとする。

男の人が立っていて、奥に行けない。

むしろ少し押し気味。なんで押すの?

他に立っている人いないのに?

その人に背を向けると、

手にパーカーを持ったもう一人の男の人が手と体を押し付けてくる。

「何するんだろう?変な奴だ」

反射的にその手を振り払う。

その男の人と身体を押してきた男の人は

素早く電車から外に出る。

「スリ?」慌ててポケットの中を確認する。

なにも取られていない。

何度も。なにも取られていない。

ドアが閉まる。周りの人たちが、

何があったんだ、という顔でこちらを見ている。

心臓の鼓動が高まる。

やっと、何が起こったかを理解する。

あれがスリだったんだ! 初スリ体験。

バルセロナはスリが多いってきいてはいたけれど、

いざ、自分が遭遇してみると、

まったく分からない。

「それにしても、

列車が出発する前に出て行くのはいい手口だなぁ。」と妙に感心する。

地下鉄の駅を降りて地上に出る。

ホテルまでは200mほどのはず。

夜11時過ぎているのに旧市街のメインストリートは

真ん中が広い歩道になっていて

(歩行者天国的な広さ)そこには、

オープンレストランと人でいっぱい。

いたるところにスリがいるような気になってしまう。

ホテル無事到着。

明日は、アントニオ・ガウディのサグラダファミリアに行く予定。

* *

写真で見慣れた塔が勇壮な姿で立っている。

その横で、長いアームを持った大きなクレーンが動いている。

10時過ぎなのにすでにたくさんの人が並んでいる。

イスタンブールのアヤ・ソフィア寺院の前を思い出させる。

後方で人がおまわりさんに聞いている。

「どれくらいかかります?」「そうね、2時間ぐらい」

ありえない…ダフ屋(入場券を割高で売ってくれる人)はいない…

思いのほかスムーズに(30分ほどで)中に入ることができる。

* *

中に入った途端に、世界は全く変わる。

教会の建物の内側は、まったくこれまで見たことのない作り。

生命界が、神の世界をたたえながら、

神の世界に感謝しながら、

歓喜とともに、喜びとともに空に昇っていくような。

柱たちはそれを手助けするか、のように立っている。

そのそれぞれの想いが、音楽となって、

歌となって、シンフォニーとして空から降り注いで、

この空間全体を満たしている。

伝統的な今までの表現とはまったく違った

斬新な表現方法で、しかも、本質的なことをより深くとらえながら。

超、ユニーク。軽さを持ちながら、軽くなく。

明るさを持ちながら、わざとらしくなく。

すべてがとても自然で、バランスが取れている。

威厳さえも感じる。

今までの教会建築のもう一つの表現方法ともいえるかも。

これだけのものを一人の建築家が… 完全に脱帽。

後で、ガウディがとても敬虔なキリスト教徒だということを知る。

後ろを振り返ると、白い有機的な空間の中にある

透明な円筒形の筒の中を一基の

白いエレベーターが点滅しながら昇っていく。

音楽とともに(イメージ)、世界が上昇していく。

「ここは未来都市?!?!」

私は放心状態。

我に帰り、周りを見渡す。

それから、イスの最前列に座る。

祭壇の上からは外光が射し降りてくる。

まるで天の世界から何かが下りてきたかのよう。

時間は正午、太陽の光は真後ろの高いところから差している。

祭壇上では、十字架につけられた

イエス・キリストの像がその上にかかる大きな笠に覆われながら、

空間に吊るされている。あたかも、

教会全体に満ちている、

地上の世界と神の世界を称賛しながら昇っていく

シンフォニーに包まれるように、たたえられながら空に昇っていくかのよう。

光の降り注ぐ場所に目をやると、黄金色にかがやく不思議なフォルムが…

そして、そこにうっすらと黄金のリングが…

そのリングは祭壇の前の場所から見ると

真円にみえるように作られている。

そして、円錐状の天井にできたもう一つの

ほとんど認めることのできないリングと接している。

何という作り…

ガウディは建物だけではなく、光もつくりだしていた。

「だ・つ・ぼ・う」

再び放心状態。

* *

塔の一つにエレベーターで上った後、降りてくる途中、不思議ならせん階段に出会う。

底は真っ暗。不思議な感覚に襲われながら、

ゆっくりと降りていく。狭くて、一方通行で何度も体験できないのが残念。

これでもか、これでもか、と次から次にいろんなことが…

完全にノックアウトされながら、

フラフラしながら夕暮れのグエル公園へ。

ガウディが設計した公園の斬新さと

バランスの良さにまたまたノックアウト。言葉も出ません。

「もう十分。明日は、他のものは見ずにそのままマドリッドに…」

朝起きてみると、やっぱり、見てみようと思いなおし、

ガウディが設計した建物を2つ見学。

「うう!」カウンターパンチを浴びて、立ち直れないぐらいの放心状態。

「す・ご・す・ぎ・る」

呆然とした後のパエリア、

呆然とした後はパエリア、

パエリアはいかがですか?

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