221 入道雲恋しい

「雨が続くね。」

もうすぐしたら、モクモクとした、

ジージーとした、夏がやってくるんだろうね。
入道雲、懐かしいな。いろんなところで入道雲見てきたよね。

 

とても驚いたのは、ゴジラの入道雲だった。

飛行機から眺めた入道雲はまさに巨大ゴジラで、

その周りにラドンの雲を引き連れていた。
それを見たときには、入道雲の秘密を見たようで、

ドキッとしたことを覚えている。

それから、夕暮れに消えていく入道雲。

真っ赤な夕日を浴びていた屈強な入道雲が日が沈んだとたん、

ヘナって魂が抜けたような、

気を失っていくような、そんな感じだった。
あんなに、強そうなやつが…って、

昔のことを思い出してしまうような…

大学に入った夏休み、テントを買って、

阿蘇の外輪山を歩いて回ったことがある。
テントがあればどこへ行っても

それを立ててその場に泊まることができる、

というのはすごい魅力で、勢い勇んでずっとずっと歩いた。

木もほとんどないところだったので、

日影がなく、電波塔の日陰を見つけたときは、

その下でひっくり返って休んだ。

夕方ごろになって、テントを張る適当な場所を見つけると、

そこにテントを張っていた時のこと。
阿蘇の雄大な風景と雄大な入道雲がとても似合っていた。

とするうちに、だんだん入道雲が大きくなっていき、

周りの風景を取り包み始め、

それまで照りつけていた強い日差しが隠れ、

薄暗くなった中で周りの草や木々が乱れるように身を揺らし始めた。

そのうちに、稲光とともに、山々にこだまする雷の響き。
車があれば、ある程度安心して

それを眺められていたはずだけど、何せ丸腰。
あたりは平原。自分自身は目立つでっぱり。
雷の格好の餌食。
テントから離れ、
体中から金属製のものを外し、
大地に腹ばいになり

(おへそを取られないため?いや雨が目に入らないように。)
ただ、ひたすら雷の収まるのを待つ。
土のにおいと草のにおいに包まれながら。

「雨降っていたの?」

忘れてしまったね。

どれくらい経っただろう。
気が付くと、あたりは静まり、明るさが戻ってきていた。
あたり一面からは湯気が立ち上り、

山肌からは霧が空に向かって帰っていく。

「クワバラ クワバラ って言った?」

なんか言ったようなイメージがあるけど、たぶん、言っていないと思う。
ああ、早く夏になって、入道雲の輝きを見てみたい。

「なんで突然、入道雲?」

ハマウドを見ると思い出す。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です