224 星明り

「まだ、暑い日が続くね。」

でも影はもう秋だね。

「そう、そんな感じはしないけど?」

今年の夏は忙しくて自己研修ができなかった。

「自己研修って、遊びに行く言い訳のやつ?」


新たな見識を広めないとね。
それと、新たな発見も必要だしね。

「自己研修でなくても、やれるんじゃない?」

そう、この前はそうだった。
霧島での講座が終わった夜、散歩で外に出た。
前回の月夜とはうって変わって真っ暗
いつも思う。

<もう、何も発見することは残っていない>ってね。

空には満天の星。月が出てくるにはまだ時間が…
まだ出てきていない月の影響はないのかな?
と思い、ふとお日様のことを考える。

あの明るいお日様だって、沈むと真っ暗になる。
月だったら、出てなきゃ空は真っ暗だよね。
目が慣れても、この暗がりには慣れない。
目を凝らしながら、少しずつ歩く。
木々の枝の隙間から星空が瞬く。
アスファルトの小道に出る
季節外れの蛍が一匹、道案内のように飛んでいる。
聞こえてくるのは、下を流れる小川のせせらぎ、
道端に腰を下ろし、空を見上げる。
アスファルトの上はまだ温かい。
一瞬流れ星、
それもカーブした軌跡
と思ったら、蛍が頭の上を、

不思議な明るさ。

街明かりがないのに、なぜか下から明かりが漏れてくるような…
ふと考える。

<月でできた木漏れ月(木漏れ日)は見たけど、

星では木漏れ星は見えないのだろうか?>

木の枝に遮られた地面に目を凝らす。
星の形?
あるわけないよね。
星空全体が地面に広がるわけだから。
見たいな〜、木漏れ星

ふと木々を見上げる。
暗闇のはずなのに、葉っぱが透けて見える。
うっすらと、でもまんべんなく。
この枝も、あの枝も。
ああ、これだったんだ。街の明かりが射しているように見えたのは。
どこに明かりが?
そう、それは星たちの明かり。ここにあるのは星たちの明かりだけ。
ほかの明かりが全くなくなったとき、満天の星の輝きが、灯りとなって空から降り注ぐ。

それは、あたりを照らし、木々の葉を透かす。
地面の明るさは木漏れ星の満天の星粒の広がり。

たまには、自分の意識の光を消してみるのもいいのかもしれない。

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