226 公園に行きたい

秋になったな〜

この前まで、夏が好きだと思っていたんだけど…
やっぱり、秋になると秋が好きだな〜

でもさ、やっぱり秋の前に夏があるから、

秋好きなんだろうかね〜
なんというか、土曜日の朝というか、
夏の暑さがあっての秋の心地よさなんだろうな。
ずっと秋だったら、このすがすがしさは体験できないんだろうな。

暑い夏に感謝しよう。

「何ぶつぶつ言ってるの?」

秋が、気持ちいいって言っているだけ。
こんな日は広い公園に行きたくなるんだ。

広い広い公園で、そこにはまばらに大きな木が立っている。
芝生は黄色に色づき始め、木々も色づいている。
イチョウは黄色。
木々の深い影が芝生にさしている。
遠くはわずかに霞んでいる。

そこに、秋の白銀の日差しがさしていて、
木々や芝生は、鈴の音の輝きを周りにしみこませていく。
深い影は、別の世界への入り口のように私を誘う。

大きな木のそばで腰を下ろし、

ひたすら自分を溶け込ませていく。
時々日向に出て、その暖かさを背中に受け、

自分の中の温かい暗がりに、提灯のようなほのかな灯りをさしこむ。

しばらく、ボーっとした後は、ぼちぼちと歩き始める。
ポケットに手を入れ、自分の影に自分の意識ごと入り込み。
光はそのまま背中に感じながら、

ぼわーっとしながら、その先にあるものを感じつつ、

あてもなく、でもあてを予感しながら、歩く。
先はずっとずっと永遠につながる。
光の風の流れの中を浮かびながら動く、と言ったほうが正解かも。

***

そんな公園を探している。

秋になったら、思い出して探してみる。

「で、見つかったの?」

見つからない。
イメージ通りの場所って、見つからない。
この前行ったイギリスの公園が一番近いかも。
でも、なんか違うんだよね。
秋に行っていないからかな?

でも、やっぱり違う。
自分の立っている場所から、黄色い輝きの霧の風の光が放たれる。
世界はその光で覆われ、しばし息をひそめる。
まあ、みんなで日向ぼっこするって言ったほうが、適当かな?
木も、草も、影も、みんな日向ぼっこしてボーっとする。
そこに一人の人物が立っている。

「それは自分?」

いいや、ニーチェが立っている。
なぜか…

輝きの中で白く消えていく先を見ている。
自分自身も消え入るような目つきで。
全ての物が光の風に飛ばされていって散り散りに消えていく。

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