秋になったな〜
この前まで、夏が好きだと思っていたんだけど…
やっぱり、秋になると秋が好きだな〜
でもさ、やっぱり秋の前に夏があるから、
秋好きなんだろうかね〜
なんというか、土曜日の朝というか、
夏の暑さがあっての秋の心地よさなんだろうな。
ずっと秋だったら、このすがすがしさは体験できないんだろうな。
暑い夏に感謝しよう。
「何ぶつぶつ言ってるの?」
秋が、気持ちいいって言っているだけ。
こんな日は広い公園に行きたくなるんだ。
広い広い公園で、そこにはまばらに大きな木が立っている。
芝生は黄色に色づき始め、木々も色づいている。
イチョウは黄色。
木々の深い影が芝生にさしている。
遠くはわずかに霞んでいる。
そこに、秋の白銀の日差しがさしていて、
木々や芝生は、鈴の音の輝きを周りにしみこませていく。
深い影は、別の世界への入り口のように私を誘う。
大きな木のそばで腰を下ろし、
ひたすら自分を溶け込ませていく。
時々日向に出て、その暖かさを背中に受け、
自分の中の温かい暗がりに、提灯のようなほのかな灯りをさしこむ。
しばらく、ボーっとした後は、ぼちぼちと歩き始める。
ポケットに手を入れ、自分の影に自分の意識ごと入り込み。
光はそのまま背中に感じながら、
ぼわーっとしながら、その先にあるものを感じつつ、
あてもなく、でもあてを予感しながら、歩く。
先はずっとずっと永遠につながる。
光の風の流れの中を浮かびながら動く、と言ったほうが正解かも。
***
そんな公園を探している。
秋になったら、思い出して探してみる。
「で、見つかったの?」
見つからない。
イメージ通りの場所って、見つからない。
この前行ったイギリスの公園が一番近いかも。
でも、なんか違うんだよね。
秋に行っていないからかな?
でも、やっぱり違う。
自分の立っている場所から、黄色い輝きの霧の風の光が放たれる。
世界はその光で覆われ、しばし息をひそめる。
まあ、みんなで日向ぼっこするって言ったほうが、適当かな?
木も、草も、影も、みんな日向ぼっこしてボーっとする。
そこに一人の人物が立っている。
「それは自分?」
いいや、ニーチェが立っている。
なぜか…
輝きの中で白く消えていく先を見ている。
自分自身も消え入るような目つきで。
全ての物が光の風に飛ばされていって散り散りに消えていく。