229 飛行機の旅
台風がやってきている。
ちょうど、東京行に重なる。
飛行機は飛ぶのだろうか??
台風の進路を時々確認してみる。最初の予報よりも速度が遅くなっているから、

たぶん大丈夫だろう。

でも、実は、台風の時に飛行機で飛ぶのは、

結構楽しみでもある。

だって、普段では見ることのできない空が現れるからね。

いつぞや四国へ飛んだ時はすごかった。

でもこれは台風じゃなくて、夏の入道雲のすごいのだったな。

本当に、飛行機に乗って発見することは多かった。

毎回乗るたびに、新たな発見があり、

空で起きる様々な自然現象を体験することができた。

太陽と反対側に座れば、

飛行機の影にできる虹の輪っかがついてくるのを体験できる。

それはそれは美しい体験。

雲の上を、長い飛行機雲のしっぽを付けた

飛行機の影とともに虹の輪っかがついてきてくれているのは、

とても頼もしくてうれしい。

少し高度を下げたときに

雲の隙間から降りてくる光の中に入り込めるチャンスがあると最高。

その瞬間、飛行機の影からパーッと周りに光が放たれるから驚き!

お日様側に座ると、今度は太陽の周りの虹のショーが始まる。
虹色の雲の彩雲。太陽の周りに虹色の輪っかの暈現象。
その一部が虹色に輝く幻日現象などなど。

 

以前、ドイツの教員養成所の図書館で一冊の本を見つけた。

その本には、太陽の周りに円や

十字やすじなど幾何学的なものが描かれていて、
何とも不思議な得体のしれないものだと感じたけれども、
それは、空に時々起っている自然現象だったと後でわかった。

 

それと、七色に変化する竜雲も楽しみの一つ。
ひときわ輝く細い雲が向こうからやってきて、

通り過ぎるまでの色の変化がありえないぐらい素晴らしい。

 

ある時、飛行機の窓から自分の家のあたりを見たことがある。
それは、懐かしさを含んだ、何とも言えない、特別な感覚だった。
生まれる前の自分が、これから降りていく家を見ているような。

 

いろんな体験があった。
本に書かれているものも含めて、すべての現象を知り尽くした。
もう新たな体験は起こらない。
でも、一応、カメラを持っていこう。

 

台風の空は雄大。
あたり一面雲の海が続く。
こんもりした雲と霧のような薄い雲のコンビネーション。
薄い霧の雲がやけに輝く。
薄い雲なのに鏡のように太陽を反射している。
そして、そのななめ右下には縦になった小さな虹。

ありえない場所。

ありえない虹の向き。

ありえないことがあり得る。

台風にもかかわらず、今まで体験した着陸で一番スムーズな着陸。
思わず、隣の人に「すごかったですね〜」と同意を求める。

誰も拍手をすることなく、飛行機は駐機場へ…

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