235 メッセへの旅 II

もう何にも起きないよね。

そう思い、パソコンに向かいます。

だって、もう十分すぎるくらいにいろいろ見せていただきましたし。

でも、やっぱり、そとを眺めてしまいます。

オッと!

違う現象が訪れました。

この現象もまれにみることができます。

海面に光が映っているように見えますが、そうではありません。

海面にはこのようにくっきりと太陽は映りません。

これは、太陽が雲に反射してできているものです。

雲が反射する?

雲こそものをはっきり映したりしないものではないか、と思いがちですが、

ある種類の雲は鏡のように物を映すことができます。

ここの雲は見えないぐらい薄い雲ですが、

もう少し濃い雲でもこの現象は起きます。

この現象は、うすい六角形の薄片の氷が

鏡のように水平に浮いていてそこに太陽が

反射してできるのではないか、と言われています。

この日は少し雲が濃いときからずっと続いていました。

こんなに長時間続くのはかなり稀です。
この後、薄い雲はなくなり、お日様は映らなくなりました。

飛行機は、目的地の羽田空港に向けて降下を始めました。

たくさんの現象を見させていただきました。

ありがたいことです。

ん!

おお、降下につれて薄い雲が太陽に近づいていくと、

なんとその雲がにわかに虹色に色づき始めました。彩雲現象の到来です。

雲の上から彩雲現象を体験できるのはまれです。

これまで一度着陸時に羽の後ろにできる

薄い雲が虹色に色づいたものを体験したことがあります。

その時はこの世のものではないような美しさでした。

美しいものを見させてもらった。

感謝の気持ちでいっぱいです。

もう、飛行機で出かけた目的は達したような気持ちになってしまいます。

飛行機は雲の中へ吸い込まれていきました。

じぇじぇ!

雲の中に入るとさらにその下に雲の層があります。

その雲の層に、上の雲の隙間からこもれた光が映り巨大な木漏れ日ができています。

それぞれ丸くなった巨大な木漏れ日が最後に私を見送ってくれました。

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