243 ヨーロッパ研修番外編 鬼門パート2
うーっ!あと8分
列車はとうに出発を待っている。
くそー!
カバンを持って駅の窓口めがけて走る
黄色いコートをかけている駅の
案内の人が時刻表を見ながら女の人と楽しそうに話している。
構わず、血相を変えた表情で割り込む。
「コインロッカーが開かない!」
「私はこの列車に乗るんだ!」
列車を指さしながら。
案内の人は、状況を察して、
携帯を取り出して電話し始めた。
たぶん列車に連絡を入れてるのだろう。
別の人がやってくる。
私と二人でコインロッカーまで走る。
私はカバンをさげながらその手ぶらの人を追い越す。
その人少しあわてる。
「このコインロッカーなんだけど、
お金を入れても戻ってくる!」
「暗証番号もちゃんと入れた!」
その人は、暗証番号が書かれた紙を
取り上げると、自分で番号を入力し、
私からお金を受け取ると入れ始めた。
ジャラン。お金が全部出てくる。
「ほら!」っていうと
「料金は3.5ユーロ。
お金はお釣りがないように入れないと戻ってくるんだ!」
そういうと、彼は1ユーロを握りしめ駆け出す。
しばらくして戻ってくると、最初から操作をやり直す。
暗証番号を入れて、1,2,3ユーロ 50セント
ガチャン!
開いた!開いた!
握りしめていた残りの1ユーロを渡そうとすると、受け取らない。
急いで荷物を出すと隣のプラットホームまで一目散。
彼もついてきてくれる。
間に合った!
「俺(この場合どういうわけか私じゃなく)は勝った!」
列車の入り口の乗務員に挨拶をすると
列車に乗り込む。
乗った場所が、大分離れた場所だったので、列車の中を移動する。
そのうちに列車が動き始める。
滑るようにホームを抜けていく。

「やった!」「やったんだ!」
ホームを抜けてスピードが上がる。
ポルトガルの街が矢のように通り過ぎる。
列車の扉は一向に閉まる気配がない!
このスピードで開けっ放し?
仕方なく、自分で閉める。

スーツケースを置くと座席につき、しばらく休む。
しばらくして、食堂車探検。

大きなカウンターがあり男性2人がサービスしている。
よし、今日は前祝だ。

隅っこのカウンター席で頬杖をつきながら、
過ぎ去った時を思い返しながら何とも言えない安堵感と居心地の良さに
ずっと座り続ける。

まさか、この後、第二のピンチが訪れようなんて知る由もなく
国際列車は夜の闇の中を滑るように駆け抜けるのでした。

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