244 ヨーロッパ研修番外編 鬼門:やっと完結編、疲れた。
カウンターでかなり長い時間ボーッとした後、
座席に戻りました。
もちろん、座席が少し倒れるだけのリクライニング。
ガラガラだった車内も、
そうこうしているうちに、人で満杯になりました。
もちろん隣の席にも男の人が乗ってきました。
夜中(もちろん乗り込んだ時も夜中だったのだが)
寒さで目が開きました。
隣の人を見るとコートを羽織っています。
私はというとシャツ一枚。
「どうして、ありえない
こんな車内で寒さに震えるなんて!」
スーツケースの中の服を取りに行こうにも
隣の人は熟睡している、
スーツケースは、というと
ほかの人たちのスーツケースの下で窒息状態。
「とても取れるものではない、」とあきらめ、寒さに耐えることに…
寒い…、何か体をあっためるものはないか?
あるのは重たい手提げかばんのみ。
何にもない…。
あきらめるな、何かいい方法が…
「あった!」「パソコンだ!」
ノートパソコンを取りだし、ON状態にして、
お腹を温めることに…
「俺って、天才!」(また俺が出る)
お腹を温めながら、ふとある考えがよぎる…
「そういえばポルトガルとスペインって
時差一時間だよね。まさかね~!
到着時間ポルトガル時間じゃないよね。
着いたら一時間過ぎてましたって!笑えないよね~!
ありえない、ありえない、
いくらポルトガルだってあり得ない!!」
不安をかき消すように眠りにつきました。
夜が白々と明けてきました。
あたりは延々と続く荒野。
「ああ、こういうところを歩いてみたいな~。」
と思いながら窓の外の景色に見入っていました。
しばらくして、ふと時計を見ると、到着時間まであと30分。
「あと30分?!」
ここ、どこまでも続く荒野。
何処にも、大都市マドリッドの影どころか、家さえ見えない…
ドンキホーテがロバに乗ってそうな!幻覚?
「ありえない!」
「予定到着時間だって、結構ギリギリだと思ったのに…!」
「いやいやそんなはずは…」
到着予定15分前ぐらいになってやっと大きめの駅に・・
「良かった、もうすぐマドリッド!」と思ったら、
列車は駅を離れて再び荒野へ!
「ピンチだ!」「やっぱりやってきた!」
アドレナリン全開!パワーモード!
みんながのんびりしているのをしり目に、
座席を離れ、埋もれて窒息したスーツケースを掘り起こし、
列車の出口に
いつでも最初に飛び出せるように準備!
ほかの乗客の人たちが、
あきれ驚いたような顔をしているけれど、
そんなのどうでもいい。
マドリッドの列車の路線図とにらめっこしながら
着く駅からどの方法で空港まで行けばいいか
何度も何度もシュミレーション。
今までやったことのない綿密さ。
駅から列車を使うべきか、地下鉄を使うべきか…
去年は列車が早いと思って、
列車にしたら乗り継ぎで大変な目にあった。
ここは、安全に地下鉄か?
地下鉄は時間がかかりすぎるかな?
パリでは地下鉄で大変な目にあったし…
でも、やっぱり冒険はしないほうが…
そうこうしているうちに30分が過ぎ、40分が過ぎていく。
「だから、何度も駅員さんに確かめたのに、
列車遅れないかって!」
「遅れるのはいつものことだから、
改めて質問する人がいないのか?」
妙な考えが頭をよぎる。
突然50分遅れで列車が駅に到着!
走り出す体勢!
ガラガラバタン
扉が開くとともに駆け出す。
スーツケースのころはすでに壊れて
ガラガラと大きな音を立てている。
ホームの真ん中に地下鉄への入り口が!
「やっぱり地下鉄!」と思い駆け込もうとしたときに、
視界に列車を降りる車掌さんの姿!
急いで駆け寄る。
「空港に急いでいる!」「どうやれば!」
彼は、
「空港行きの列車がある!
11番ホームだ」と言って2階の連絡通路を指さす。
「よし!」と地下鉄の入り口をやり過ごし、
連絡通路に上がるエレベーターに一目散。
連絡通路で、女性の駅員さんを捕まえて、
「空港行は?」と確認。「12番」との返事。
12番ホームのところまで駆け抜ける。
電光掲示板に、エアロポートあと2分と出でいる。
スーツケースと鞄を両手に抱えながらエレベーターを駆け下りる。
空港行の列車が滑るように到着。
乗り込む。
走り出す前に、すぐに列車の中の人に確認する。
「エアロポート?」
「エアロポート!」

列車は思いのほか早く、空港のターミナルに着く。

今回は、ちゃんとどのターミナルから

飛行機が出発するか、事前にガイドブックで確認。

聞いたおじさんが、

「同じターミナルに行くからついておいで。」と言ってくれる。

切符を持っていなくて、空港への出口が通れない!

おじさん先に行く。
こんなの、もう、全然ピンチじゃない!
出口側にいた駅員さんに、

「夜行列車で来たから切符持っていない。」

と伝えると、ゲートを開けてくれた。

連絡バスの乗り場を確認すると、

バスに乗り込む。そこには、先ほどのおじさんが乗っていた。

いくつものターミナルを経由していよいよ私たちのターミナルへ。
空港のカウンターには、少し余裕をもって到着できた。
やった!という思いと安堵感が入り混じり、

ニマーとした笑いが抑えても抑えても出てくるのでした。

アディオス!マドリッド!

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