247 水の不思議

私たちの身の回りにあって、とっても不思議なもの。

人知れず、地面の中を進んできたかと思うと、
硬い岩の隙間から湧水となって突然、姿を現す。

静かに、しかし、絶え間なく、流れ続ける。

その周りの草や樹や岩たちの空間は

神聖なものに包まれている。

その神聖さは、私たちをいやしてくれる

健康さに満ち満ちている。

風景の中に泉があるということを知っているだけで、
突然その風景が

不思議な生き生きした深さを持ったものに変わる。

 

<私の中にも

こんこんと水が湧きだしている場所があるのだろうか、

その清らかな水の周りには、

植物たちが調和のとれた美しさの中に育っている場所が>

水は自在、どんな隙間もその形を自由に変えて進む。

突然岩の間から現れたかと思うと、

滝となり滝底に向かってまっさかさまに落ちていく。

しばし、自由の身となった水は

空間の中で剣の形となり、滝つぼに突き刺さる。

その柔らかさで、どんなに硬いものでも削っていく。

その自由な動きで、深い谷を削り取る。

白く輝く剣は、時としてその周りに美しい虹を携える。
剣は流れの中でそこに現われるもの。

<私の中にもあるのだろうか。

どんなところでもくぐり抜ける自由で柔らかいものが?

それは、時として剣となり、どんなに硬いものでも削っていくものが?>

水は流れる。激しく身をくねらせ、

シュウシュウ、ゴウゴウと音を立て岩を削り、

石をころがしながら流れた水は

たくさんの流れを集め、

河となってゆったりと身をくねらせる。

緑色の濁りを伴った流れは、

その濁りを岸に堆積させながら、

浅瀬でキラキラと輝きながら

大きな緑色の蛇のように悠々と平野を流れていく。

空が真っ黒になり、激しい雨がやってくると、

突然緑の大蛇は目をさまして暴れ出し、周りのものを食べつくす。

<水は河の形の中を自分の形を

変え流れているのだろうか?

それとも水の形が河の形を変えているのだろうか?>

水は静まる。
海という受け皿の中に流れ込んだ水は、

身を鎮め、自分の中に持ち込んだものを静かに、

静かに積もらせていく。

自分が暴れた動きは大きな砂粒となり、

静かな動きは、きめの細かい泥として

平らに降り積もる。

そして、長い年月を経て、硬い岩の大地となる。
風は波を作り、空と雲と山をリズムの中に包み込む。

<私の中にあるのだろうか、静かな深みの中で、

積み重ねられていくものが?>

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