248 空の祭り

今年の夏も気が付くと、終わりに近づいている。
いつの夏もそうだな~

今年の夏は、7月の終わりこそ

夏だって日があったけど、

大体いつ梅雨が明けたかわからないまま、

ずっと雨交じりの天気だった。

夏って、暑くって、山の上に入道雲が立ち上って、

セミの鳴き声交じりの風が木々の間を

駆け抜けるって感じがするんだけど、今年はそれがない。

それでも、各地で祭りが行われているだろう。

今年の夏は、一回だけ関東に行く機会があった。

京急線でたどり着いたのは金沢八景、

駅を降りた途端にあの懐かしい暑さ。

考えてみれば、冷房の効いた

空港の建物の地下から

そのまま冷房の効いた列車に乗り込んだから、

外の状態は知る由もない。

立っているだけで、頭の芯まで暑くなっていくこの感じ。

聞くところでは、関東では

ずっと34度ぐらいの日照りの日が続いていたそうだ。

九州とのあまりの違いに呆然としてしまった。
それから3日間、

こどもたちと合宿で夏の暑さを十分に満喫して、再び帰路へ

* *

入道雲というと、遠野のことを思い出すな~

那須塩原から新幹線とローカル線を乗り継いで、

やっとたどり着いたところは広大な盆地だった。

その上には雄大な入道雲が漂い、稲が揺れていた。

その中をレンタカーで早池峰神社を目指して走った。

山岳信仰によって支えられていた土地だった。

周りの山々が遠野の里を優しく包み込んでいた。

そういえば、山形の月山に登ったのも夏の日だった。

五里霧中の道をただひたすら登っていくと、

突然に霧が晴れ、雄大な雲海が広がる世界にたどり着いた。

今までの世界は完全におおわれて、

天の世界だけが広がっていた。

この山で私と同じような体験をした人も

数多いのではないだろうか?

月山も山岳信仰の山で、

山形県は月山の信仰によって支えられているのだろう。

諏訪湖の周りにある御柱祭で

有名な諏訪大社四社も訪れた。

遠くの山から大木を曳いて来て、

神社の四隅に立てる祭りのことを

出会った人から聞かせてもらった。

自分自身神主だというその方は、

御柱のように真っ直ぐ、軽やかな立ち姿だった。

* *

飛行機は厚い雲が覆う夕暮れの空に向けて飛び立っていく。
もちろん抜けた空は快晴、ちょうど月山の時の体験のように。

雲が一面大地のように広がる異空間。
その先に巨大な黒々とした雲の塊。
真ん中には大きな穴が開いている。

まるで怪獣たちのすみかのような。
その真っ暗な塊が、稲光で、ピカ、ピカピカと光る。
お腹の中に光る球を携えているかのように。

そうだ!
これは『ねぶた』だ!

巨大なねぶたの山車が
夕暮れの中を内側からの熱気で

明るく輝きながら、たたずんでいる。

雲の上のねぶた祭り!

ああ、ねぶた祭りに行きたい。
時間とお金をこへるべ。

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