249 デーヴスさんの講座

7月21日にミヒャエル・デーヴスさんの講座があり、

多くの方々にご参加いただきました。

デーヴスさんの福岡での講演会は2度目で、

前回は『私の中のキリスト』というテーマで話をしてもらいました。

今回のテーマは『聖杯とは:パルジファルを通して』

で聖杯を求めて旅をする騎士についてのお話でした。

どちらのテーマもキリスト教を

信仰していない私たちにとって、

一見遠い話で、自分のこととして、

どう関連付けて理解していけばよいか、

難しい問題でもあります。

 

デーヴスさんは、

それを私たち日本人にも分かるような、

普遍的なテーマとして語っていただきました。

また、大学で物理学も専攻されており、

理系的な理路整然とした話の組み立ても

わかりやすい要因かもしれません。

 

聖杯という言葉は時々耳にすることがありましたが、

それがいったいどういうものなのか、

というのははっきりとしていませんでした。

聖杯とは、イエス・キリストが

最後の晩餐の時に弟子たちに

それに葡萄酒を注ぎ飲ませたときの器で、

イエス・キリストが十字架の受難を受けたときに、

キリストの血を受けた器であるといわれているそうです。

ヨーロッパでは、

この聖杯への信仰とそれを求めて

旅をする騎士の話がどこからともなく生まれてきたようです。

その中の有名な話はアーサー王の物語です。

その中の騎士の一人としても

登場するパルジファルはフランスやドイツのお話の中で

聖杯を探求していく主人公として描かれるようになり、

その話をワーグナーは舞台神聖祝典劇として完成させました。

着想から何十年も経て、ワーグナー最後の作品として。

これを公演する舞台も一つに定めていたそうです。
ちなみに、ワーグナーは彼の作品

をオペラと呼ばれるのをとても嫌っていたそうです。

デーヴスさんは、このワーグナーの

パルジファルを神秘劇の一つとして

とても高い評価をされていました。

『パルジファル』に関しては、

シュタイナー学校の上学年生のクラスで

取り扱うテーマで、

一人の人間の成長と自己実現への

手助けになるものとして位置づけられています。
残念ながら、デーヴスさんのお話は、

このパルジファルのお話の

入り口のところで終わってしまいました。

お話に至るまでに理解しておいた方が

いいことが、たくさんあり、そのことに時間を要してしまったからです。

ただ、パルジファルに至るまでの

お話は大変重要なお話だったと思います。

 

そのなかで、印象に残っている話の一つに、

システィーナのマドンナのお話がありました。

本物のシスティーナのマドンナは何処にある?

という問いかけがなされました。

本物のシスティーナのマドンナは

ドレスデンの美術館にあるけれども、

それは絵の具とキャンバスであって

それ自体が本物ではない。

本物は見る人がそこに関わり、

対話することによってはじめて生み出される。

でも、そのためにはキャンバスと絵の具の物質が必要である。

というお話でした。

うまくいくと、また来年お呼びできるかもしれません。
今度は、パルジファルのお話の内容が聞けたらと思います。

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