いよいよ夏至が近くなってきました。
世界は明るさと輝きに包まれて
います。

芽吹きとともに、
ぐんぐん伸びてきた植物たちは
その歩みを止め、世界に対して
自分自身を広げていきます。

松の木は一本の棒のように
伸ばしてきた芽を
少しずつ広げ始めます。
まるで、魔法の杖です。

サクラの枝は葉を一枚ずつ広げては
伸びていき、
今はただ静かに自分自身が
硬くなっていくのを待っています。

何の変化もないように見えますが、
葉の一つ一つに付いている新芽の
中では、来年の芽吹きに備えて
少しずつ準備されています。

梅の枝はサクラの枝と似ていますが、
一度に勢いよく伸びていったかのように、
長い枝になっています。

しかし、その先端では
完全に勢いを止め、
芽が枯れてしまっています。

こういう梅の枝を見るたびに、
頭を霧雲の中に突っ込んで、
見えなくなっている摩天楼への
妄想へと連れていかれます。

あたり一面に
ヒメジョオンの花が咲いています。

みんな両手を大きく広げて
これからやってくるお日さまの祭り
を楽しみにしています。
時折、風に揺れて、その喜びも
生き生きと波うっています。

「ん!?」

よく見ると、
真ん中の花が枯れています。
この前は枯れてなかったのに…
真ん中が限りなく伸びてくる菜の花
とは真逆です。

真ん中の成長が終わり、
その周りに成長が移り、
さらにその周りの周りに移っていく
動きです。

でも、花の一つ一つを見てみると、
外側の花びらのような花から始まり、
中心へと花が開いていきます。
つまり、真ん中が一番遅いわけです。

う~ん、分かりません。
考えてみるしかありません。

松の枝も中心の成長が止まり、
周りの葉に力が移っていくようです。

梅の枝も、中心に花は咲きませんが、
そこで成長が終わり、
枝の周りの新芽に力が注がれる
動きを感じます。

展開する、という動きは、
<中心が先に成長を終わり、周りに
その成長が受け継がれていく>
という流れなのだろうか、
と考えたりします。

それでは次第に先の成長が抑えられ
それ以前の葉が包み込んでいく
サクラの枝の突端の芽はどういう
動きなのだろうか?

キャベツの巻き込みの成長は
どんな動きなのだろうか、
と考えてしまいます。

考えることがいっぱいです。

花は枯れて終わりのようですが、
そこに新たな種を宿し、
地面に落ちて、そこから成長して
いきます。
単に成長の勢いが見えない力に
変わった感じです。

でも、そのために花は花粉として、
自分自身を置き去りにして世界に
向けて開き、溶け込んでいきます。
そして、世界を受け入れて、
自分の中に種を宿していきます。

ヨハネの雰囲気:第12週6月24日
(R・シュタイナー魂の暦より)

世界の美しさの輝き
それは私に、
自分自身の中に息づく神の力を
世界の翼へと結び付けるように、
魂の深みから働きかける。

世界の光と世界の温かさの中で
信頼を胸に、
ただ自分だけを探しながら、
自分自身を置き去りにするように。

2021.06.18 井手芳弘

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