254 秋

あれほど、真っ赤に燃えた

柿の実と一緒に鮮やかだった柿の葉が
いつしか、その色合いをなくし、
枝にうなだれたように下がっている。

色合いをなくしたはずの葉は、
明け方のまだ日の昇る前の、
水分が朝露のしずくとなって
凝縮したような、寒さと静けさの中で、
得も言われぬ
葉から透けてくる淡い色合いが
私の心のひだを透けていく。

そして、私の色合いを精妙な雰囲気で満たす。

…ふと、一枚の葉が落ちた…
…鳥だと思った…

イチョウが色づく
緑色から黄緑色、
そしてレモンイエローからゴールデンイエロー
とどまることなく変化しては
落ちていく。

黄色味が増すごとに、
その黄色がまばらになりながら
下に少しずつ黄色のしずくが溜まっていく。

日が射した時の、

光の輝きのような黄色もさることながら、
日が陰った時の淡い色合いも心にしみてくる美しさ。

晴れたり、曇ったり一日の変化の中で、
黄色くなった葉を落としなら、
その色合いを息づかせる。

それは、移り変わることによって生まれてくる美しさ。
とどまらないことによって生まれてくるもの。
そして、繰り返しの中から生まれてくる美しさ。
でも、一つ一つの繰り返しが、少しずつ違うもの。

その美しさは、たまらない。
たとえようがない。

朝露
一晩中、満天の星たちに眺められて、
しずかに降りてきた、水の星たち
昇ってきたお日様が笑いかける。
そして、星たちはキラキラと嬉しそうに輝く。
誰がキラキラさせる?
それは、葉を揺らす風たち。
風がないときは?
歩いていく私。

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