263 ザーレム研修・1

何か、とても大切なことを学んでいる気がします。

毎年、このザーレム工房を訪ね、

ニーダー氏といろんなことについて話していますが、

今回は、実際にライアを一台作る研修です。

 

一年ぶりに、訪れた工房では、

ニーダー氏と奥さんが温かく迎えてくれました。

4人のこどもたちも、

それぞれ家を離れて

今は二人だけだそうですが、

それぞれ、近くに住んでいて、

孫を連れて訪れています。

また、ニーダー夫人は

子供たちのところに手伝いに行かれています。

ニーダー氏は

なんと電気自動車で迎えに来てくれました。

日産リーフを安い値段で買ったそうで、

機械は苦手で、さっぱりわからない、

と言いながら楽しそうです。

もう一台の、

前からある車も日本製で、

ガソリンと天然ガスで走れるようになっています。

家には、

発電機付のボイラーが備え付けられていて、

工作機械も含めた、

自分の家に必要な電気以上を発電していて、

売電しているそうです。

しかし、この売電も10年間しか特例がないようで、

余った電力は、

電気自動車の充電などに使っているそうです。

エコの実践に頭が下がる思いです。

ニーダー氏の話は、

ライアの話にとどまらず、

世界の情勢や過去の歴史の事、

様々な分野にわたります。

それぞれに、

自分なりに情報を集められ、

自分独自の考えを持っておられ、感心するばかりです。

現在ライア工房には二人の人が働いています。

一人はアンドレアスさん、

もう一人はヒルデガートさんです。

アンドレアスさんは

ギター職人でマイスターの資格を持っています。

 

以前ここでセラックニス塗装の

やり方を教えてもらったことがありまず。

 

ヒルデガートさんは女性で、

弦の製作とライアの弦張りの担当です。

工房には、新しいザーレムライアだけでなく、

修理のためにいろんなライアが持ち込まれ、

吊り下げられています。

この弦工房では

ザーレムライアだけでなく、

様々なライアの弦も自作され、

持ち込まれたライアに張られていきます。

 

訪ねた次の日から、

さっそくライアを作るための木を取りに行きました。

工房から数100メートルの距離にある

大きな倉庫の一角に

ライア用の木が山積みにされています。

厚く製材されたもの、

薄めに製材されたもの、

様々な木が積まれています。

これらの木は、

自分で木を丸太のまま買って、

製材した後、ここに積んで乾かしているそうです。
{ここにある木は

ほとんどが次の世代のための物だ。}

とニーダー氏は語っています。

カエデの木で

ライアを作ることにしたので、

積んである木の中から

ソプラノライアに適した厚みの木を探し出し、

それをその場で必要な長さに切り、

工房に持ち込みました。

木は2004年のラベルが貼られていたので

10年以上乾燥されています。

工房に持ち込み、

ライアの枠に必要な部材を鉛筆で型どりし、

それを帯鋸を使ってカットしました。

工房の中は、

大きな木工機械が並んでいます。

機械がしっかりしているので、

作業がとてもスムーズに、正確にできます。

ギター職人のアンドレアスさんに聞くと、

ギターやバイオリン工房は

これほど大掛かりではなく、

小さな工房で済むそうです。

ライア作りにこれらの機械が

どのように使われているか、後で知ることになります。

しかし、あらためて、

ライアを作るのに

どんなに手間がかかるかがわかりました。