わけのわからない話が長くなってしまいました。
私が追いかけているものの一つに、楕円があります。
このことは何度か書いたことがあります。
いつも気になっているからついつい書いてしまうわけですよね。
そういえば、楕円と、放物線、
双曲線の関係についても書きました。
「楕円は変化させれば、放物線になるし、双曲線にもなる。
すべて円から発展していったもので、
また円に戻すことができる。
なんてすばらしいんだろう。
こんなこと知らないなんて。残念だよね。」と考えてしまいます。
でも、これはオタクの独りよがりかもしれません。
そんなことを考えない人にとっては
どうでもいいことかもしれません。
…本当は、もっと、もっと叫びたいんです、
「すごいんだ! すごいんだ! すごいんだ!」
って… でも、嫌がられそうだから、我慢しています。
最近、また、このことを更に発展して考える機会が訪れました。
頭の中が、このことで満杯で、
ついつい気がつくとこのことを考えています。
事の起こりは、
ドイツのシュタイナー学校教員養成所のコピー室です。
コピー室から事が起こることが多いです。
(コピー室は私にとって宝の山でした。)
私は学費を稼ぐためにコピー室の掃除をしていました。
今考えると、一石二鳥の仕事でした。
そこで、一枚の書きかけの図が机の隅にあるのを発見しました。
それは、画用紙に鉛筆と色鉛筆で描かれた
半球とその影の作図でした。
その図を見た途端、雷に打たれたようになり、
その場に立ち尽くしました。
そして、掃除を中断して、その作図のやり方を考え始めました。
(一人で掃除していたので、サボりではありません)
その図は、残念なこと、
もしくは幸運なことに、途中で投げ出されていました。
(たぶん、難しすぎて、途中でやめて捨てたんだと思います。)
もちろん、球の影を作図する、
など考えたこともない私にとっては超、難しすぎる課題でした。
ただ、球の影を作図することができるんだ、
ということがわかった喜びと、
どうやって作図するのだろう? という問いが残りました。
そして事あるごとに思い出しては、
「やっぱりできない。」とギブアップしていました。
でもその間、私には力がついていました。
楕円の性質という強力な道具が、私を鍛え上げてくれていたのです。
そしてやっと解けたのです。
この図はできたての記念すべき図です。
思えば30年ほどかかってしまいました。
先日、大人の芸術クラスで遠近法をやりました。
影を書くことがテーマだったのですが、
その中の一人の方が、な、なんと、こともあろうに、
半球の影を書き始められたのです。
その方は、自分なりに考えられたのですが、
わからずに、私も完全に説明できず、
私の宿題になりました。
それから、大体の感じで作図してみたのですが
(それだって、かなりいいところです)
やはり、きちんとつじつまを追求しようと頑張ってみました。
やり始めて、自分がきちんと分かっていなくて、
曖昧にしてきたところが現れました。
それを一つずつ修正しながら、
でもやはり限界を迎え、頭を抱え、
これはやはり透明な球を買ってきて、
マジックで環を描いて観察するしかないか、
と買う物のメモをしたところでした。
楕円のいろんな性質を道具として、
もう一度考えたときに解け始めました。
ヒントは楕円と直角十字を組み合わせたことでした。
光(黄色線)に対して垂直な楕円と直角十字(青線)、
それに垂直で光の筋に平行な楕円と十字(黄緑線)
そしてその二つに垂直な楕円と地面に垂直に立つ十字(赤線)、
その三つを作り上げ、そこに接地点を書き、
地面に投影される十字と楕円(緑線)を描くことで完成です。
* * *
その喜びも長くは続きませんでした…
今度は、こどもたちの教室でした。
中高生に、木炭で球の作図をしてもらいました。
そして、私の作図の不完全さに気がつきました。
言い訳ですが、
立体の作図全体の問題点に行き当たった形ではあります。
それから事あるごとに、
紙があるとついつい円を描いて、
楕円を描いてしまっている、今日この頃です。