そもそも、どうしてまほろばに行ったかというと、
岐阜でライア作りの指導をするためでした。
シュタイナー教育を取り入れている、
清流みずほ幼稚園を中心とした
幼稚園の先生方にキンダーハープのライア作りを教えてきました。
そもそも、どうしてライア作りを始めたか、
というと今からさかのぼること20年ほど前のことです。
大人の芸術教室で参加者の方か
キンダーハープを作りたいという要望があったように思います。
それで、板を材木屋さんから取り寄せ、
ピンや弦などをドイツから取り寄せて作りました。
ぺロルでキンダーハープ類を扱っていたことや、
コロイの工房でのライアメンテナンスの研修や
ザーレムライア工房での研修を通して、
ライアに関していろんなことを学んでいました。
また、木材加工に関しては家具を作ったりしていたことで、
どのように道具を使っていけばいいか、
ということが分かっていましたので、
それほど困難ではありませんでした。
ただ、回を重ねていくうちに、
これは単なる工作とは違うのだ、
という事に気がつき始めました。
ただ、決められた形を切って、削っていき、
穴をあけて、塗装をし、弦を張って出来上がり、
というものではないという事です。
確かに、作り上げるライアの音階から、
おのずと弦の長さが決まるので、
ある制約が生まれます。
でも、その制約の中で、自由にデザインすることができます。
ただ、自由にデザインできるから
何でも好きな形を作ればいいか、というと、
そこにはじめて調和のとれた形とそうでない形が生まれてきます。
調和のとれた形とそうでない形、
はどういう違いなのだろうか、
という問いに答えてくれたのは、
シュタイナー教育の学びでした。
シュタイナー学校で子供たちが学ぶ授業として
フォルメンというものがあります。
線で様々な形(フォルム)を描きながら、
こどもたちの内的な力を育てる手助けにするものです。
このフォルメンを自分で描いたり、
こどもや大人の方々に教えていく中で、
フォルムに関しての感覚と理解が深められたように思います。
それに、R・シュタイナーの
精神的な世界と物質的な世界のかかわりのイメージ、
それにゲーテの植物のメタモルフォーゼのイメージも
とても役に立ちました。
それと、アレキサンダー・ヴィンターさんの
絵のワークショップからの学びもありました。
そして、キンダーハープの形が
一つの生きた形に見えてきました。
いろんな生きた形がありますが、
生き生きとした形はそれぞれの部分が
お互いに関係性を持っています。
お互いに会話をしてる感じです。
キンダーハープは手に持って演奏する時に、
ちょうど赤ん坊を左手に抱くような持ち方をします。
そして、ライア自体も生きた一人の人の形に見えてきます。
大きく穴の開いた部分が頭や胸でその下がお腹
といった感じです。
裏側は背中です。
そうみていくと、あーこのライアは頭でっかちだなー、
とかお腹が大きすぎるぞ、
とかそんなイメージがわいてきます。
探すのは、それぞれの個性を持ちながらバランスのとれた形です。
このように書いていくと、
とても難しくて分かりにくい感じがしますが、
出来上がっていく形を見ていくと、
生き生きとしたかっこいい形として表れてきます。
それで、皆さんが型紙に描かれたライアの形を、
私が容赦なくビシバシ変えていきます。
「えーっ!」とか「なるほど!」
とかいう声が聞こえてきます。
ほとんどが
「なんだか、形が変だけど、どうしていいかわからなくて…」
「いい形になりました。」
と言ってもらえます(本心からだと信じています)。
「エヘン!」
たまに、お魚さんなんかが現れます。
「どうしてお魚なんですか?」ときくと、
「こどもがおさかなの形がいいというので…」
という答えが返ってきます。
そういう時は、
「子供が欲しているものではなく、
お母さんが本当に子どもに与えたいものを
作ってあげてください。
それが、子を育てるという事ではないですか?」
と言って、説得します。
どうしても…、という方には
おさかなさんを作ってもらいます。
それから、型紙を切り抜き、
板にその形を写し取って、私の方でカッティングしていきます。
いよいよ、彫る作業の始まりです。
宣伝です。
このようなライア作りの講座を
今年も東京の調布市の方で企画しています。
ノミや木槌などを使った経験のない方でも、
完成できます。ご興味のあるかたは、ぜひご参加ください。
日程は来年1月30,31日 3月19、20日の4日間です。