年内に年賀状を送ること。
昨年も鬼に笑われていましたが、
今年こそは、と
いい調子だったように思えるのですが、
気がついてみると、
近年最遅の結果に終わってしまいました。
まず、年賀状の画像を決めるのですが、
なかなか大変です。
前年度に撮った写真を
ずっと眺めていって一番いい写真を探し出します。
一番美しい写真ではなく、
一番不思議な現象の写真を探します。
それも、不思議なことがはっきりわかるものではなくて、
何の変哲もないような普通の風景の中にあるもので、
よく探して、考えてみて初めて分かるものです。
そういうものを探して行くと、
影の現象、遠近法のなせる技、
水に映るもの、などになってきます。
今年の年賀状はいろいろ考えた挙句、
昨年の二月に撮影した、鹿児島湾の写真にしました。
朝早く、天気のいい日に、
海の中の低い堤防の道を歩く人を撮影したものです。
この写真は
つれづれ261 早起きはつれづれの得 パート2
に掲載しました。
時々、これはいったいどういう現象なのですか?
という問い合わせを受けることが、楽しみの一つです。
今回も、
「ど、どうして、影が2つ映っているのですか??」
という質問を頂きました。
「ウーンうれしい!」
<さくら>のような質問に、
これまでの苦労が報われた気がします。
「エッヘン、それは、ですね、
つれづれ261を見ていただくとわかります。」
喜びを抑えながら答えます。
しばらくして
「見てもわかりませんでした。」という答えが返ってきました。
そうか、説明不足だったんだ。
そこで、このページを借りて、再度説明したいと思います。
* * *
問題なのは真ん中あたりを歩く人の影です。
やや薄めの長く伸びた影と
短めのやや斜めで少し左側にずれた影があります。
長く伸びた影は本来の影ではなく、
水面に映った人の像です。
それに対して、短くて濃い影が本来の影です。
じつは、本来の影が
水面に投影されるのを見る機会はあまりなく、
きれいな水では影を見ることはできません。
影だと思って見ている物のほとんどは
水に映った像なのです。
水面に映る像は太陽から左右に離れていっても
まっすぐに立っているのに対し、
影は太陽から離れるとかなり斜めになります。
人の左側の短い杭を見てください。
短い杭は手前にある杭です。
長い杭は向こう側にあります。
撮影をした場所がやや高い位置
(水平線の高さの位置なので、人の頭よりだいぶん上)
だったので、実際は同じ長さの杭だと思います。
短い杭の映った像がまっすぐに伸びていますが、
その左側に離れて短く斜め45度の影が見えます。
その先端と長い杭の像が
一緒になっているので見えづらくなっています。
同じく、人の2本右側の杭も
同じように映った像と斜めの影が見えます。
人のすぐ右側の短い杭と
その右側の長い杭を見てみると、
短い杭の方には、短い影がついていますが、
長い像はなくなっています。
その隣の長い杭も像がなくなっています。
お日さまの反映の中の影は
またとても不思議な現象を引き起こすのですが、
これはまた機会があれば、きちんと説明できればと思います。
ここまで、お付き合いありがとうございます。
このように、何の変哲もない日常の現象の中から、
しっかりと見つめることで、
様々なことが発見できたらいいな、と思います。
それにしても、
本当に水というのは不思議なものだと、つくづく思います。
ちなみに、
人の頭の後ろ1mの海の上にある黒い点は
レンズの汚れです。すみません。