前回の<スランプの後の贈り物>で沖縄行の飛行機の中の出来事を書きました。

飛行場に到着する時点ですべては終わった感じです。

いやいや、これからが本番でした。

那覇空港に着陸しようとしたときに

海面に連なる白い筋が見えました。

潮の流れがぶつかった境界にできる泡のようでした。

一年ぶりの沖縄は、夏の始まりのような感覚です。

かなり寒くなった九州から急に暖かいところにやってきて、
突然夏にタイムスリップしたような、
別世界にやってきたような不思議な感覚です。

みんな、半袖です。

長袖しか持ってきていなかった私は、

暑くて汗をかいてしまっています。

早速車に乗り、那覇から名護市に向ってメイン道路を走ります。

高速もあるのですが、どういうわけか、ナビが下道を走らせていました。

お腹もすいたので、左車線を走りながら沖縄そばの店を探します。

店はたくさん並んでいるのですが、
あるのは、くら寿司、焼肉キング(?)など、沖縄でなくても食べられるような店ばかりで、
沖縄そばの店は一向に現れてきません。

「そっか、私はたまに来るから沖縄そばを食べようと思うけど、
沖縄に住んでいる人はいつも食べているから、
ほかのもの食べたいんだよね。」
と空かせたお腹を抱えながら妙に納得です。

やっと店を見つけて、今年の初沖縄そばです。

お腹がいっぱいになって、走りながら妙なことを考えました。

小さな島では、お家に鍵をかけない、って聞いたことがあるけど、

もし悪いことをしても、島からは逃げられないんだよね。

それって、沖縄も島だから、逃げられないんだよね。

でも、それだったら日本も島だから逃げられないと言えば逃げられない。

いったいどれだけの大きさまでそのことが言えるのだろうか?

などと、考えながら美しい海岸線を走ります。

途中小さな岬への道があったので
その道を走ると大きなリゾートホテルがあり、プライベートビーチがありました。

車を降りて歩いてみると、
グレーの粒々がたくさん砂浜に打ち上げられています。

軽石だ!

テレビなどで報道されている軽石を実際に見ることができました。

なんだか、有名人に会ったような不思議な感覚も混じっています。

海の中にも筋のように続いています。

そうか、飛行機から降り掛けに見た泡の筋のようなものは軽石だったんだ!

そういえば、水のきれいな沖縄の海に泡の筋などできるはずないよね。

かすかな違和感を感じたんだよね。

違和感、

そう、ほんのかすかな違和感、
それを拾い上げられるかどうか、それが大切。

昨年、頑張って海開きの準備をしていた海岸も
たくさんの軽石で砂浜がグレーになっています。

コロナで大打撃を受け、今度は軽石。

さぞかし大変なことだと思います。

車で走っていると、ほっこりとする看板に出合いました。

Uターンしてパチリ!

他にも<古宇利美人多し、脇見注意!>がありました。

思わず、脇見してしまいました。

これは写真撮れませんでした。

大らかさは車の運転にも表れています。

追い越し可能な白線の道路で
一台の車がマイペースで(のろのろ)走っていました。

追い越そうとすると、
方向指示器をつけずに、いきなり右折しました。

車で走っていると、歩道が車庫になっています。

沖縄の人たちは私の想像をはるかに超えています。

美しく、厳しい海と様々な出来事を経て
今の暮らしがあるのだろうと思います。

2021/12/17  井手芳弘

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