299 奈良研修・4(岡寺、安部文殊院)

奈良研修も4回目を迎え、

いよいよ最後です(と思います)。

思えば奈良研修も

遠い昔のことのように思い起こされます。

暑かった日差しも、

思い出の中で少しずつ涼しさを増して

ちょうどいいくらいです。

そういえば、飛鳥寺の案内の方が、

「夏は暑いから人が少ない。」

「秋になったらたくさんの人が来られる。」

と言われていましたが、

今頃は秋風と深い影の中、

たくさんの方々が訪れているのでしょう。

飛鳥寺を訪ねた後、

岡寺に向かいました。

岡寺も由緒のあるお寺です。

広い駐車場で、500円払い、

石段を登ってお寺に向かいました。

お寺も駐車場で

資金の一部にしているのだろう、

と思いながら歩いていくと、

途中に無料の駐車場がありました。

受付で、入館料を払いながら

そのわけを聞くと、

「お寺には参拝者用の無料駐車場があるが、

途中の道が狭く、近隣の人に迷惑をかけるので、

積極的には案内していない。」とのこと、

ちなみに有料駐車場とは

全く無関係だということでした。

駐車場のほうから少しでも寄付があるといいな、と思いながら仏様に向かいました。

ここのご本尊は如意輪観音で

なんと土でできているそうです。

これまで、木製、石、青銅の

仏像があるのは知っていましたが、

粘土製の仏像があるのは初めて知りました。

でも、以前土で人の像か

何かを作っているという人の話を聞いて

とても特殊なものだ、と思っていましたが、

昔からあった伝統的なものだったということがわかりました。

受付のおばさん方の

美しい筆さばきで仕上がっていく

御朱印を眺めていると、

いろいろ説明してくださり、

四社巡りの案内をしていただきました。

ついでに、四社セットの割引券もあるとのこと、

「受付で入館料を払い戻して、

四社券に換えたらいいよ、と教えてくれました。

その四社とは、岡寺、

阿部文殊院(あべのもんじゅいん)、長谷寺、室生寺です。

御朱印も初めて買いました。

昨日夜にお会いした、

太鼓をたたく古くからの知り合いの方から、

室生寺の向かいの山上公園と

龍鎮神社を勧められていて、

室生寺も行こうと思っていたので、四社券を買うことにしました。
有効期限はないそうです。

境内の途中に鐘つき堂があり、

自由に鳴らしていいと書いてありました。

とは言え、小心者の私は、

周りに聞こえないぐらいに、迷惑にならない程度についてみました。
ごりやくをいただこうと鐘の真ん中に立った時です。

鳴っていた鐘の音が聞こえなくなったのです。

「小さく鳴らしすぎたか。」と思い、

鐘の外側に出てみると鳴っています。

また戻ってみると消えてしまいます。

「うーん、これは面白い。」

「もう少し大きく鳴らしてもこうなのだろうか?」

小心者も好奇心には勝てません。

もう一度、今度はやや大きめに鳴らすと再度実験です。

「やっぱり聞こえない。」

「これはおもしろい。」

「鐘の中心はどうだろう。」

今度は、鐘の中に頭がすっぽり入るように、

飛び跳ねてみます。

もちろん周りに人がいないのを確認して…

「やっぱりきこえない。」

だんだん、鳴らす音が大きくなっていきます。

やっとの思いで抜け出し、

いよいよ四社巡りの出発です。

いや、一社は済んだので後三社です。

レンタカーを走らせてやってきたのは安部文殊院です。

中に入ってみて、

なんとここが安倍晴明の生家だということを知りました。

俄然、特別なものに変わります。

道理で安部なんだ、なるほどと納得しています。
案内を待っている部屋に

山型のチョコレートのような、

パッチワークの座布団版のような、

でこぼこのある座布団が置いてありました。

尋ねると、八十八か所の砂を

それぞれの場所に小分けしていれてあり、

座ると八十八か所巡った

ご利益がいただけるスーパー座布団だそうです。

このような工夫が凝らされているのも、

安倍晴明と関係あるのかな?

などと考えてしまいます。

ちなみにここは知恵と学問の神様のようです。

ここのご本尊は獅子に乗った文殊菩薩です。

鎌倉時代の有名な仏師快慶作だそうです。

かなりシンプルに力強く彫られた獅子と、

その上に片膝座りしている隅々まで表現され、

ほんの少し丸みのある菩薩様が、

なんとも絶妙な関係を生み出していています。

手荒な獅子を手名付けて、

片膝座りをしている菩薩様の余裕のかっこよさを感じます。

清明堂に行く途中、古墳の入り口があり、

洞穴の中に入ることができました。

中に古墳があるお寺なんて初めてです。

清明堂にたどり着いてみると、そばに記念碑が立っていました。

その碑には

「ありがとうウォーナーのオジサン」の文句が。

それも外国の方の名前。

清明堂とは似つかわしくない

その日の説明文を読んで、アッと驚きました。

なんと、第二次大戦中

奈良や京都を爆撃から守った人の感謝の碑だったのです。

その方は、東洋の文化の権威で、

軍の要人に爆撃しないように

再三進言した方だったのです。

子供時代に、アメリカの学者の人たちが

爆撃しないように要請した、という話を聞いていましたが、

まさか、こんなひっそりとしたところに

このような方の碑があるとは驚きです。

そして、その先を読んで

驚きは感銘に変わっていきました。

なんと、この碑を立てたのは、

一人の男の方で、

その方は日雇労働をしながらお金をコツコツと貯め、

大金を作ると、

奈良や京都を救ってくれた人への感謝の碑を

一人で作ろうとしたのです。

本来ならば、京都駅の真ん前あたりに

立っていてもよさそうなものが、

このような場所にひっそりと建っていました。

そして、その方はその方流の親愛の情を込めて

「ウォーナーのオジサン」と書いたのでしょう。

ずっと昔からの謎が解き明かされた気がして、

そこに立ち尽くしてしまいました。

こんな場所こそ、

人々が列をなして訪れるに値するパワースポットです。

さすが、安倍晴明ゆかりの場所だけのことはあります。

お守りには、五芒星形が使われていました

(昔からつけられていたそうです)。

後で調べてみると、

日本で最初に電子マネーで

拝観料が払えるようになった寺社、神社だそうです。

さすが、安倍晴明。いや文珠院。

研修記、終わらない。

ウォーナーのおじさんありがとう。

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