今回は東京の狛江塾の皆さんと星空合宿をすることになりました。
題して、
『星空観察会、宇宙に飛び出そう会』
です。

場所は八ヶ岳のふもとの甲斐大泉駅の近くでした。
前日まで晴天だったのに、
当日の東京は曇りで雨交じり、
天気とともにどんよりとした気持ちで朝を迎えました。
でも昼過ぎには少し晴れ間が見え始め、
列車で小淵沢駅に着くころは
八ヶ岳の周りは青空が広がっていました。

現地に着くと早速4時半ごろから
眺めのいい場所で沈みゆく細い三日月の観察です。
お日さまが沈んだ北アルプスの左側の空に細い月が見え始めました。
それから、あたりが薄暗くなってくるとともに、
木星や土星、白鳥座や織姫彦星が現れてきました。

十分に体が冷えた後に、
皆さんで美味しいお食事をいただき、
それから12星座の中で、
その日に観察できそうな星座を描いた後、
9時半ごろから再び観察です。

今度は、東の空に赤い火星が見えてきました。
しばらく休んで、今度は12時から星空観察です。
空高くおうし座の角のところに火星が輝いていました。
探せなかったレーザーポインターが見つかったので、
かに座などの星座を皆さんにお知らせすることができました。
それから4時半、6時と日の出までの空を観察することができました。

朝食の後、また集まって皆さんとシェアーをして解散しました。
「星空を事前に描いたことが助けになった。」とか、
「頭の中だけだった星空を実際に観察して、実感することの大切さを感じた。」
「星々からの、また星々への語り掛けを感じた。」など、
たくさんの大切なことを感じてもらえたようでうれしく思いました。

心配していた天気も、
皆さんの熱意で満天の星空にしていただき、
たくさんの星を見ることができました。
感謝です!

参加者の皆さんとお別れした後、
今度は天体に関する自己研修に出発です。
下呂温泉からそう遠くないところにある金山巨石群が目的地です。

小淵沢から特急あずさに乗り、
中津川で降りると今度はバスに乗り換えて、
下呂温泉に向かいました。
世の中便利になったもので、
グーグルマップで検索してこのルートが出てきました。
列車で回るよりも近道で、
おまけに運賃も2千円ほど安いし、
山間を抜けていくので面白そうです。

ただ、バスの中は地元の人ばかりで、
旅行者風な乗客は私と若い女性の二人だけでした。
その人も乗り継ぎの停留所でおりると
どこかへ行ってしまい(多分地元の人だったのでしょう)、
下呂温泉への乗り継ぎのバスはいよいよ私一人になりました。

リッチな<一人貸し切り>と化したバスは
颯爽と山間を抜けて下呂温泉へとひた走りです。
にぎやかな下呂温泉に到着し、
家並みを歩いて宿泊先のさくら屋さんに着きました。
「中津川からバスで来ました。」と説明すると、
たいそう驚かれました。
まだ、グーグルマップを利用する人が少ないのでしょう。

食事を取ると、
温泉に浸かり、
部屋に戻ると、8時には深い眠りにつきました。
前日の星空の観察でほとんど寝ていませんでしたので。

次の日レンタカー屋さんが旅館まで迎えに来てくれました。
とても安い料金なのに、
わざわざ送迎をしてくれる、
信じられないサービスです。
あまりの申し訳なさに、
レンタカー屋さん(ガソリンスタンドでもある)で販売している
つぼ焼きの焼き芋を買うと金山巨石群に向けて出発です。

長―いトンネルを抜けると、
ダム湖の橋をわたり、
あっという間に巨石群に到着です。

広―い場所を想像していましたが、
意外と小さいところに巨大な石が集まっています。
それは壮観な眺めです。
この巨石を信仰対象にしたのでしょう。
メインの巨石群は神社として祀られていました。

早速現地調査です。
事前の資料が何もなかったので、
無人の案内書に置いてあるパンフレットと
岩の前に立っている立札を読み、
どのような観測ができるか、
を一つずつ検証していきます。

社に昇っていく階段の途中に、
枝が一つ(本当は複葉が集まった一枚の葉)落ちていました。
何気なく手に取り、
いつものように投げてみました。
手から離れた枝は滑るように飛行し、
地面に着陸しました。

「飛んだ!!」

今までどれだけの葉を試してきたことでしょう。
どれ一つとしてうまくいったためしはありませんでした。
「えっ!ただの偶然?」
枝を拾い、また投げてみます。
同じようにきれいに飛んでいきます。
何度やってもいい感じです。
「まさか、ほかの枝も…」
同じように美しく飛んでいきます。
「この枝も?」

「とぶ~!」
研修は一時中断です。
枝を拾っては投げてみます。

どれだけの長い道のりだったでしょう!

探し求めていた飛行枝(葉)に出会えて感動に心が震えます。
空を仰ぐと飛行枝が離陸を前に樹の枝先にたくさんスタンバっています。
春からずっとお日さまの光を受けて育った枝は、
秋の訪れとともに黄色く色づき、飛行の準備をします。
そして、枝を離れ、
地面に着陸する間、
ただ一度の飛行をするのです。
残念ながら風がなく、
飛行の様子を見ることができませんでしたが、
枝たちが一斉に樹を離れ、
旋回しながら飛んでいるイメージが
頭の中をぐるぐる回っていました。

現実に戻り、調査の続行です。
一つの場所では、
2月と10月のある日に
太陽の光が岩の隙間を通って
地面の小さな岩の尖った部分に当たるように設定されています。
<それを基にして、うるう年を割り出すことができる>
と説明には書かれています。

また、別の場所では、
夏至の日に岩の隙間から差し込んできた太陽の光が
楕円形の形をして地面に射すそうです。
その楕円形が手前の岩に彫られていたりしています。

そのほかにも、
夏至や冬至の太陽が山から出たり沈んだりする場所の観測点、
冬至の日没後の北斗七星の観測できる地点、
など様々です。

これだけの大きな石(岩)を意図的に動かすのは無理なので、
古代の人たちがこの場所を見つけ、
岩を利用して太陽の観測に繋げたとしたら、
それは驚くべきことです。

そして、この場所を観測場所であるとして解明していかれた方の探求にも
頭が下がりました。

すぐに終わるだろうと思った一人観察会も、瞬く間に時間が流れ、
余裕だったはずの特急列車にギリギリ間に合うという
スリリングな結果になってしまいました。
新型のハイブリッドディーゼル列車に飛び乗ると次の目的地である岐阜へと向かいました。

2022/12/2 井手芳弘

つれづれ448 天体研修三昧」への2件のフィードバック

  1. 岩はその場所に自然にあったものではなく、人間が意図的に配置したことが
    磁力の方向で証明されているそうです。

    1. 木村美雪様
      そうなんですね。それは、<岩が冷えて固まった最初の本来の場所から浸食、断層などの影響で少し移動した>という可能性はないのでしょうか?
      ペロルいで

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