今日は節分です。

お家ではお父さんが鬼の面をかぶり、
子どもたちが「鬼は外、福は内」と言って豆をまいていることでしょう。
幼稚園でも鬼役の人が現れて、園児たちが豆をまいていることでしょう。

最近知ったのですが、
「鬼は内、福も内」と言って豆まきをしているところがあるそうです。
以前にもこのつれづれで紹介した山岳信仰の開祖の役行者(えんのぎょうじゃ)は前鬼と後鬼という夫婦の鬼たちを弟子に従えていました。
そのために、役行者ゆかりのお寺では、「鬼は内」と言うそうです。

実はこの豆まきが昔は大晦日にやられていたということをかなり後になって知りました。
旧暦のお正月が2月のこのころにやって来ていたようで、
豆まきだけが2月3日に残ってしまったようです。

今年の旧暦のお正月は1月22日にやってきました。
今年は、例年より旧暦のお正月がやってくるのが少し早いようです。

最近は中国の春節の国民大移動、などで話題になり、
旧正月について少し知られるようになりました。

私が子どものころには、祖母がひな祭りなどを<旧のひな祭り>と呼んで、
一ヵ月後の4月3日にお祝いをしていました。
その時は漠然と旧のお祭りは一ヶ月後なんだ、と思っていました。
それ以外では、学校などでも旧暦の話は出てきませんでしたから、
お月様と関係があるなんて、考えもしていませんでした。

いつのころからでしょう。
旧暦のことについて考え始めたのは。
多分、ドイツに行って天動説を知ってからかと思います。

それまで、喫茶店にあった12星座のコイン星占いや雑誌などに載ってくる星座占いのページをなんとなく眺めていました。
そして、少女向けのお話ぐらいにしか考えていませんでした。
その乙女チックな誕生月の星座が、実は空に実際にあるのだと知ったのは驚きでした。
その誕生月の間に太陽がその星座にやって来ていると知ったのも、もちろんその時です。
自分の誕生月には自分の星座を見ることができないということにも気が付きました。

こうやって少しずつ、空に出ている星座や月や惑星について意識するようになってきました。
そして、お月様の満ち欠けと関係がある旧暦について考えていくようになりました。

年賀状に梅の花とうぐいすの絵が描かれていたり、
ひな祭りを桃の節句と言って、
ひな壇に桃の花の飾りがあったりします。
お正月には梅はまだ咲いていないし、
おひな様の時期には桃の花がまだ咲いていないし、
七夕には梅雨で織姫と彦星は見えないし、
と、なんとなく違和感を感じていました。
これが明治の始まりを境に、
お月様の暦からお日さまの暦に変わったことによって起きたことだ、
と知って、スッキリしました。

旧暦は今の暦よりだいたい一ヶ月ほど遅れるので、お正月に梅の花が咲いたり、
ひな祭りに桃の花が咲いたり、などとてもしっくりします。

それから、いろんなお祭りのことを考え始めました。
神社でも、お祭りが旧暦ではいつ行われていたのか、
をきいてみたりもしましたが、
多くの方はごぞんじではありませんでした。

いまさら、なぜ旧暦?
と思うのですが、
少なくとも旧暦を知ることでお月様がとても身近になる利点があります。
旧暦の一日(ついたち)の時はお月様はほぼ新月ですし、
十五日には十五夜のお月様(満月)です。
こどもたちに、時々話すのですが、

「昔の人たちはお月様を見なくても、どんなお月様が出ているか知っていたんだよ。」
と伝えると、
「へー!昔の人ってすごかったんだね。」
と感心してくれます。
旧暦を知ることで、お月様とともに暮らしていける気がします。
お月様のお友達ができると、少しさびしさが減る気がします。

また、旧暦のことを知ることで、
いろんなお祭りが、お月様とどうつながっていたかを知ることができます。
そして、もともとのお祭りの情景を思い浮かべることができます。

今のお祭りの中で、唯一昔の日付のまま残っているお祭りがあります。
それは、中秋の名月です。
これだけは、お月様が満月でないと始まりません。

西洋にも実はお月様の暦が残っているお祭りが一つあります。
それは、イースターのお祭りです。
どうも、イエス様が亡くなったころ、
ユダヤの人たちはお月様の暦を使っていたようで、
その名残がいまでも残っているようです。

お正月前には、大掃除や除夜の鐘で家の中の整理や漂っている邪気の整理をします。
昔の人たちはそれ以外に、豆まきをして鬼退治をしました。
また、肉などの食べ物をやめて、体の中も整理していたようです。
ほとんど整理されず毎年お正月を迎える私の状態とは、月とすっぽんの違いがありますが、
多分昔の人は物が少なかったのだろう、と自分を慰めています。
物だけではないでしょう。
周りから入ってくる情報量や
処理しなければいけない事柄も雲泥の差です。

お月様が赤い火星とおうし座のアルデバランを通り越してだいぶん膨らんできました。
それに合わせるかのように、梅の芽も膨らんできました。
一週間前の寒波も和らぎ、世界が明るく開かれていくようです。

ここ数年大変な出来事が続きました。
つい、自分自身の頭と心もバラバラになってしまいそうです。
夜空を見上げて大きく息を吸いながら、
足元に目を向けてシンプルに生きていけたらいいな、と思います。

本年もよろしくお願いします。
(二回目の新年の挨拶です)

2023/2/3井手芳弘

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