ドイツの日曜日は静かです。
どこもお店が開いていないからです。

ザイフェンに着いたのは金曜日の夜、
土曜日は幸運にもバウアーさんとお会いできたのですが、
「日曜日は店も開いていないし‥‥」
「何をしよう?」と考えていました。
「まあ、ウィンドウショッピングでもするか!」
と決め出かけることにしました。

ドイツの日曜日はウィンドウショッピングが常です。
店は閉まっていますが、
通りを歩いている人たちのために、ショーウィンドウを美しく飾ります。
どの店も、季節感を持たせて飾ります。
ザイフェンでもクリスマスの時には
各家々が趣向を凝らし、
伝統的なクリスマスのための飾りつけをするそうで、
たくさんの人が訪れるそうです。

街に出て最初のお店を覗いてみると、
なんと日曜日も開いて

早速、お店の中に入ります。
店内には伝統的な人形やクリスマスピラミッド、
そして、あの、あの、
かわいらしい天使たち!
たくさん集まって楽しそうです。
「こんな所からはるばるペロルに来てくれたんだ!」とジーンときました。

一軒だけではなく、たくさんの店が開いています。
それぞれに趣向を凝らしています。
一軒、一軒覗いていきます。
店から店へとはしごです。
ニュールンベルクのおもちゃメッセ(見本市)で、ブースを渡り歩いたのを思い出します。

途中に、おもちゃ博物館がありました。
入ろうとしたら、
なんと今日までお休みです。


仕方なく道を戻り、
今度は、金曜日の夜に訪れた教会へと向かいます。

日曜日にはミサがあるので大丈夫かな、と思いながら中に入ります。
教会の中には誰もいません。

しばらく椅子に腰を下ろします。
静寂があたりを包んでいます。

「これまで、どれだけの人びとがここに座り、
自分の人生を思い、祈りをささげてきたことだろう。」
と想像を巡らせます。

ふと脇を見ると、人形たちがロウソク立てを持っています。
さすがザイフェンです。

そこからしばらく坂を上がってくと、お家があります。
窓越しに小さく区切られた棚が並び、
それぞれにマッチ箱が飾られています。
マッチ箱の中には、小さな人形たちによる情景が作られています。
ペロルで販売している商品の故郷を見つけた感じです。

ところどころに、ショップを併設している工房もあり、
平日に来たら工房も見学できるところがありそうです。

家もカラフルに塗られていて、
おとぎの国のようです。
それでいて、落ち着きがあるのは
やはり伝統のなせる業でしょうか?

戻る途中に脇道を見つけました。
なんとなく気になって歩いていくと、崖に行き当たりました。
地面も掘られています。
そばには近寄れないように柵がしてあります。
似たようなものを、佐渡の金山でも見たような気がします。

そういえば、この地域は以前、スズが採れたそうで、
それを洗うために石鹸を使ったことからザイフェン(ドイツ語で石鹸という意味)の名前がついたと聞きました。

また、木のろくろを使ったおもちゃ作りの始まりは、
ガラス製品を作るための木の型を作ったのが始まりとのことでした。

道すがら、
道路わきの鉄の下水の蓋の上に、
青い石のような、
プラスチックの塊のようなものが、
置かれているのがふと目に留まりました。
通り過ぎようとする足を止め、何だろうと手に取ってみました。

よく見ると、なんと水の中のお魚さんや海藻が描かれているではないですか!
なんだか、宝物を発見したようでとても嬉しくなりました。
小人さんが置いてくれたのでしょうか?

丘の上の方では、まだ雪が残る横でスノードロップの白い花が咲いていました。

お家の横ではクロッカスもまじって咲いています。
長い冬が終わりやっと春がやってきた感じです。

時代に翻弄されながら、
この地で、地道に、朗らかに、たくましく
人々が生きてきたことを
すこし感じることができました。

2023.05.05 井手芳弘

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