ザイフェンの楽しかった滞在も終え、
いよいよ10時間かけてザーレムのある地方へと向かいます。
46€の切符を使うときが来ました。
しっかりと乗り継ぎの時間をワードに保存して、準備万端です。
ホテルからバス停まで歩き、
そこからバスです。
なんと、今回は列車料金にバス料金まで含まれています。

バスはザイフェンの街を通り抜け、川の側を走っていきます。
時々、途中の停留所のアナウンスが女性の低い声で流れます。
とても意志が強そうな貫禄のある声です。
日本の可愛らしいアナウンスの声とは真逆です。
ドイツのほとんどのアナウンスは同じような声です。
乗客は数人なので、降りる人もなく、
走り続けます。

そうこうしているうちに、
駅らしきバス停に近づいてきましたが、
駅舎もなくバス停の名前もしっかり覚えていませんでした。
「ここだっけ?」と思っているうちに、
ボタンを押すタイミングを逃し、
バスは通過していきます。

いきなりピンチです。
「油断した!」
バスの運転手さんに
「〇〇停留所に泊まりますか?」
って聞いとくべきだった!
後の祭りです。
人の気持ちも知らないで、次の停留所まで結構バスは走ります。
バスを降りて、前のバス停目指し
荷物を押しながら駆け出します。
列車の発車時刻まで8分ほどしかありません!

……~~~

やはり間に合いませんでした…

無理をしすぎて、咳が際限なく出てきます。
「呼吸器系を酷使すると、風邪を引いたときに咳が出る症状と全く同じようになるんだ!」
新たな発見です。

無人駅の時刻表を見ると、次の列車は1時間後です。
いきなり到着時間が1時間遅れます。
汗びっしょりだったので、
風邪をひく前にと、着替えます。
やっと咳が治ったころ、
列車がやって来て停車しました。

反対方面行きの列車だろうと思い、
乗らずに次の列車を待ちます。
どうも様子が変です。
運転手さんがいたので、聞いてみるとやはりこの列車のようです。

中に乗り込んで、
折り畳みの小さな時刻表をチェックします。
次の乗り換えの駅も出ています。
どうも、この駅は始発駅のようです。

先ほどの運転手さんが通りかかり、
「何かご質問は?」と訊かれたので、
分かってはいたけど、とりあえず、
乗り換えの駅について質問しました。
先ほどのバスの失敗もありましたので…

「うーん、ホーフで乗り換えるより、フライベルクで乗り換えたほうがいい。」
「乗り換えも、楽だし。」
「この列車が着いた数分後に乗り換え列車が到着するから、それに乗ればいい。」
そうなんだ…??
全く理解できません。

DB(ドイツ鉄道)の時刻表を信じるか、運転手さんを信じるかです。
やっぱりここは運転手さんでしょう!!

終点のフライベルクの駅に着いてすぐ、
乗り継ぎがあるかホームの時刻表で確認しました。
確かにあります。
11番乗り場です。
速足で進んでいくと、運転手さんが先頭車両から顔を出し、
指で11を指しています。
とっても親切です。
後で分かったのですが、乗り継ぎの列車は
ホーフからフライベルクまで同じ路線を走っていたようです。

列車に乗り込み、
DBの列車乗り継ぎ表を確認すると、
なんと、最初の予定の列車に乗れているではありませんか。
キツネにつままれたようです。
理解不能が続きます。
いずれにせよ、一安心です。

落ち着いて、列車を見渡してみます。

半年ほど前にドイツを訪れたときは、
みんな列車の中でマスクをしていました。
ところが、今回は誰一人としてマスクをしていません。
どうも、少し前に罰金制が撤廃されたようです。
罰金がないと、だれもマスクをつけないようです。

しばらく外の景色を眺めながら走っていると、
車掌さんがやってきました。

私の切符をチェックすると、
向かいの若者のところへ行きました。
そして、何やら話し始めました。
若者はポツポツと話しながら、
顔がどんどん赤くなります。
どうも切符を持っていないようです。

日本だとここで切符を買う、
という手はずになるのですが、
ドイツでは切符を持っていないと即、罰金です。

車掌さんが去ったあと、
若者は赤みが冷めやらない顔で呆然と座っています。

「罰金いくら?」
と訊くと、
紙切れを渡してくれました。
そこには確か86€(1万円)ぐらいの金額が書かれていました。

今まで、ほとんど遭遇することはありませんでいたが、
今回は2度も同じような場面に出くわしました。
いずれも若者でした。

途中、カラフルな煙突が窓から見えます。
日本にはない色の組み合わせです。
つい、カメラを向けてしまいます。

ここから先は順調で、ほとんど何も覚えていていません。

2023.05.19 井手芳弘

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