今年は例年になく早く梅雨入りしました。
梅雨までにクロッタを仕上げようと頑張ったのですが、
予定よりも早く梅雨がやって来てしまいました。
ドイツ研修もやっと本番のザーレムになります。
それまでドイツに入って4日ほどのことを、
やけに引っ張ってしまいました。
今回はニーダーさんの所に行くのに列車からバスに乗り継いで、
すぐ近くのバス停で降りることができました。
今までハイリゲンベルクのバス停まで
ニーダーさん迎えに来てもらっていましたが、
バスの時刻表を見ると、なんとすぐそばまで行くではありませんか。
前のバス停でお手付きしてブザーを押した後、
目的のバス停で降りることができました。
(前回、バス停を通り過ぎたことがあったので用心し過ぎていました。
運転手さんには降りるバス停を伝えていましたが。)
バスを降りると徒歩で、ニーダーさんのお家まで向かいます。
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なんだか、ホッとします。
実家に帰ってきたような感覚です。
ニーダーさんと奥さんはいつものようにやさしく迎えてくれました。
工房には、製作途中のライアがたくさん下がっています。
いつもの風景です。
二匹の猫たちもワンちゃんも元気です。
考えてみたら、前回訪れてから半年ほどしかたっていません。
早速、ライアの制作状況を見て回ります。
注文リストと照らし合わせながら、
ライアに私のイニシャルと注文番号を書いたラベルを張っていきます。
まるで差し押さえです。
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次の日、そのことをニーダーさんに説明すると、苦笑いをしています。
ザーレムで私が手伝えることは塗装です。
バイオリン用のニスを塗ってはサンドペーパーで磨き上げる工程です。
一日1回塗ると一晩乾かします。
そして次の日、ペーパーで磨いては塗装するという工程を5日ほど続けます。
気の遠くなるような作業です。
今回はそれと、弦づくりの工程も研修を兼ねてトライしました。
最初は弦に留め金のリングを取り付けていく作業です。
リングを機械のピンの先に通し、
弦をよじりながら取り付けていくのですが、
なかなか2本の線が均等になりません。
どちらかが、突っ張ったようになります。
リングなしで、古い弦を使って何度も何度も練習します。
次は巻き線作りです。
この作業は半年前に体験しましたが、
すっかり忘れてしまっています。
弦のリストを見ながら細い芯線にメッキされた銅線を巻いていきます。
今回は、2重巻きの低い音の弦もトライしました。
数回のトライで、きちんとした弦が巻け、
驚いたニーダーさんとグータッチです。
ライアの形を仕上げていく行程を
ニーダーさんは道具を使って手際よく進めていきます。
いつもながら、手作業だけで
仕上げていくことに驚きです。
それにしても、大変な作業です。
感心しながら、作業の邪魔をしないように眺めていると、
「おまえは、よく忍耐強く見続けられるな。感心するよ。」
と意外なところで褒められてしまいました。
最近の人たちは、なかなか見続けることができないそうです。
この大変な作業を見ていると、
「注文が溜まっているから早く作ってくれ。」
と言えなくなってしまいます。
ニーダーさんの工房の周りは牧草地帯と森が点在しています。
午後になると散歩に出かけるのが日課です。
ドイツ人は散歩が好きです。
ある時、手つかずの自然林に一緒に出掛けました。
湖が点在し、周りには白樺の木がたくさん生えています。
湖と空の青に白樺の白が美しいコントラストを描いています。
この一帯は全く人の手を入れずに保護されていて、
木も倒れたらそのまま放置されています。
それにもかかわらず、
あたり一帯は人を癒ししてくれるやさしい雰囲気に満たされています。
そのままに放置されている私の部屋の惨状とは比べ物になりません。
![](https://perol.jp/shop/wp-content/uploads/2023/06/DSC_1550-1024x768.jpg)
途中、先が鉛筆の芯のように削られている木の幹を見つけました。
「これは何?」と訊くと
「ビーバーの仕業だよ。」との答え。
「ビーバー!?」
「ここにビーバー!?」
カナダだけにいるものと思っていただけに、大変驚きました。
![](https://perol.jp/shop/wp-content/uploads/2023/06/DSC_1548-1024x768.jpg)
いつも日々の散歩は奥さんと一緒ですが、
今回はニーダーさんと二人で出かけることがよくありました。
奥さんは、孫の世話やいろんな趣味で
飛び回っていてなかなか時間が取れないようです。
二人で散歩をしながら、
ニーダーさんはいろんなことをたくさん話してくれます。
娘さんたちのこと、
仕事のこと…
![](https://perol.jp/shop/wp-content/uploads/2023/06/DSC_1642-1024x768.jpg)
つらかった時のことも話してくれます。
ずっとこの地で頑張ってきたのをひしひしと感じます。
2023/6/2 井手芳弘