つれづれはずっとドイツに留まっていましたが、
ドイツから帰ってだいぶ時間が経ってしまいました。
つれづれ浦島太郎状態です。
長いクロッタ制作活動と過酷な日々を経て、
パワーがだいぶん欠けてきています。
こういう時はパワーを補充する必要があります。
もちろんパワースポットに行くしか方法はありません。
思い起こすのはこれまで訪れたパワースポットです。
いつからでしょう、
パワースポットという言葉が流行りだしたのは。
最初のパワースポットとの出会いは
単なる偶然でした。
伊勢神宮の下宮の前の庭に小さな池があり、
その水面の反映が面白かったので写真を撮っていた時のことです。
神宮の入り口に立っている守衛の人に若者が歩み寄ると質問しました。
「すみません。」「パワースポットはどこでしょうか?」
えっ?なんと直球な質問!と驚いていると、
守衛のおじさんは、動じることなく
「パワースポットね。」「それは、そこの池だよ。」
と私のいる場所を指して、これも直球の返球。
えっ?ここ、ここがパワースポットなんだ、と驚きました。
以前からの私の趣味は
神社に行って祓戸(はらえど)の場所を確認することでした。
祓戸というのは、神主さんたちが神事の前に自分たちを清める場所です。
よく考えれば神社の中で一番パワーがある場所かもしれません。
その場所は神社の境内の場所か、神社の建物の中にあったりします。
今であれば、
「すみません、この神社のパワースポットはどこでしょうか?」
と直球で聞いてみてもいいかもしれません。」
多くの祓戸は周りの位置関係からして、
とてもいい場所に設定されていることが多いです。
祓戸の場所はこれまでの神主さんが設定するようで、
神主さんにはパワーのある場所を感じる能力が備わっていたようです。
鳥居についても同じようなことを聞いた気がします。
鳥居はそこからが神社の境内であり、
くぐると急に空気が変わる、とよく聞く気がします。
ある人の説明では、鳥居は神社の見えない結界の境を示しているのだそうです。
目に見えない形で結界が存在しているけれど、
その結界を認識できない人のために、
目印として鳥居を立てているとのことです。
神主さんたちは修行で特殊な能力が備わっているのでしょうか?
神社自体もパワースポットになっていることが多いです。
その神社がパワースポットとして有名かどうかは、
訪れてみると分かることがあります。
パワースポットとして有名な神社にいくと、
もちろんたくさんの参拝者が訪れています。
でもそれだけでなく、個性的な若い参拝者の数が多く見られます
(時々仙人のようなお年を召された方もおられます)。
そして、神主さんが結構あか抜けておられることも多いです。
もともとパワーが強い場所にパワーを持った人たちがやってくるので、
神主さんもそのパワーをもらっているのかもしれません。
それにしても、神社を建てるときに、
どのようにしてパワーのある場所を探すことができるのか、
というのは問いです。
昔の人たちがいま神社がある場所を設定したのだと思うのですが、
その能力に驚くばかりです。
今の私たちには失われてしまった力です。
私の持論ですが、
神社が建っている場所には周りの地形とある関係性がある気がします。
よくある位置関係は神社の背後に山があり、
山頂に奥の院があります。
そしてその反対側、神社を背にして振り向いた先には
結構開かれた場所があります。
山の力を受けた神社を背にして開かれた方に向かって遥拝するときに
自分に強い力が流れるような気がします。
開かれた場所に意識を集中できる小さな丘などがあると
より良い感じがします。
この感覚は、ドイツでオイリュトミー
(体を使って空間や音楽などを表現する芸術)
を学んだことで培われた身体感覚です。
身体感覚が周りの地形に拡大した感じです。
オイリュトミーをやって良かったなーと思います。
このことを意識すると、
よく思い出すのが有名なエジプトのファラオ―の彫刻です。
ファラオ―の頭の背後に鷹が止まっていて、
両方の翼でファラオ―の頭部を挟んでいます。
その感覚を拡大すると鷹の翼は左右にそびえる山であり、
鷹自体は左右の山の背後にそびえるご神体です。
このことを考えていくと山という漢字が三つの山から構成されていて、
真ん中が高くなっているのも理解できる気がします。
三山信仰にもつながる気がします。
ギリシャを訪れたときにも、
多くの神殿がやはりそのような位置関係の場所に立っていました。
日本人の感覚とギリシャ人の感覚が似ているのが驚きです。
古代ギリシャ人に限ってかもしれませんが。
最近、教室の合宿やその下見などで、
何度となく押戸石の丘を訪れました。
シュメール文字が彫られた岩がある、ということでも知られています。
この押戸石の丘は知る人ぞ知る九州の代表的なパワースポットです。
そのことは、そこに訪れる訪問者の様子からも伺えます。
ほとんどが若者で、個性的な方がたくさんです。
どこかでシンギングボールのセッションが始まったりしています。
押戸石の丘は阿蘇山の北側の外輪のなだらかな丘陵地帯の中にあります。
少し高くなっているので見晴らしが良い場所です。
車を停めて事務所で一人200円払うと、
そこのおじさんが説明をしてくれてパンフレットを渡してくれます。
そして、なんと方位磁針も貸してくれます。
方位磁針を貸してくれるパワースポットはほかに聞いたことがありません。
昔訪れたときには事務所も何もありませんでした。
パワースポット人気の証拠だと思います。
パンフレットを見るといくつかの岩が載っています。
そして、なんと最初のはさみ石は真ん中で割れていて、
割れ目の方向が夏至の太陽が昇る方向を示しているそうです。
そしてその反対側は冬至の太陽が沈む場所なのです!
そして、さらに夏至の方向を伸ばしていくと、
以前訪れた岐阜県の下呂温泉の近くの金山遺跡に繋がっています。
なんという奇跡!
パンフレットと磁針を持って丘を登っていくと最初にはさみ石に到達します。
手前から岩の裂け目を覗きました。
夏至の太陽の日の出と遠い先にある金山遺跡も想像しながら見てみると、
隙間から久住山が見えます。
<嘘つき(?)は岩の間に挟まれる>というその岩の隙間をすり抜け(正直者で安心!)、
今度は反対側から冬至の太陽が沈むのを想像しながら岩の裂け目を覗きました。
そこからは小高い丘が見えます。
そして左手には阿蘇の五岳が望めます。
阿蘇山と久住山に囲まれてなんともパワーがみなぎってきそうな場所です。
2023/7/21井手芳弘