佐賀のある幼稚園で月に一度、園児たちと芸術教室なるものをやっています。
35人ぐらいの年長さんの教室を2クラスです。

先日も、子どもたちと和紙染めカードづくりをしました。

園の先生たちも手伝っていただきながら、
みんなワイワイとお祭りのような賑やかさです。
とても楽しそうです。
子どもたちが帰る時に
「先生大好き!」と言ってくれた子がいました。
モテ期がくるのが遅すぎた感があります。

後で園長先生も
「改めて、とってもいいと感じました。」
「子どもたちもとっても楽しそうだった。」
とほめていただいたので、
嬉しくなって少し手作りのことについて書いてみたくなりました。

この日の和紙染めカードづくりは
薄い和紙を折り曲げて染料に付け、
それを開いてアイロンをかけて乾かし、
最後に白い台紙に貼っていきます。

それぞれの色がお互いに、にじんで混ざり合い、美しい色合いが生まれます。
最後に白い台紙に張る時に子どもたちから歓声が上がります。
その色合いの美しさに感動しているのが分かります。

園では園児たちといろんな手作りをしますが、
手づくりを選ぶ基準はいくつかあります。

まず、出来上がった作品を大人が見ても、素敵だなと思えるものです。
上手下手ではなく、それぞれに個性的で美しい作品が生まれる手作りです。

次に、なるべく自由に作っていけるもの、
きちんと出来なくてもそれなりに美しく、
きちんと作るとより美しい手作りです。

そうやって生まれた子どもたちの作品には優劣をつけることができません。
それぞれにその子の個性が息づいているようです。
先生たちにも、<上手!>という優劣をつける言葉かけではなく、
<きれい!>というような感情に働きかける言葉をお願いしています。

そして、透けたりにじんだりすることで美しく見える手作りを選んでいます。
<色が染み込んでいったり、光が透けたりする体験をしている時には、
それと同時に自分の心に色が染み込んできたり、
心の中に色の明かりがさしこんできたりする体験もしている>
と私は考えます。
そのために、心がとても生き生きとしてくるのだと思います。
春の新緑の緑も秋の紅葉や黄金色の稲も、
よく見ると光が透けることによって美しい色合いが生まれています。
そんな身の回りの透けている物にも気が付いてくれたらと思います。

みつろうロウソク作りも忘れてならない手作りの一つです。

ミツバチの巣から取れたみつろうを湯煎にかけ、
溶けたろうの中にロウソクの芯をつけていきます。
順番に並びながら、ロウにつけては最後尾に回って次の回を待ちます。
待つ間に芯に付いたろうが冷えて、
回数を重ねるごとに雪だるま式に大きくなっていきます。

子どもたちには、「ミツバチたちが花を飛び回って、
花粉を食べて、体からロウを出して、それで巣を作っていて、
その労を分けてもらって昔の人たちはこうやってロウソクを作っていたんだよ。」
とお話しします。
これもお祭りのような、楽しい雰囲気です。
蜜蝋の何とも言えない甘い香りが部屋中に漂います。

こうやって書いていて、はたと思い当たりました。
これらの手作りのほとんどは、私がその昔ドイツ滞在中に、
ペロルさんが関わっていたバザーや
シュタイナー関係の幼稚園などで見かけたものでした。
改めて、その質の高さに驚きを隠せません。

これからも、子どもたちが心の底から喜んでくれる手作りを探していきたいと思います。

2023/8/4 井手芳弘

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