つれづれ324 鳥海山登山

 

少し肌寒く、少し暗くなってきましたね。

横に吹きすさぶ風に灯るあかりが恋しい季節になってきました。

皆さん、お元気にお過ごしでしょうか?

私は少し焦り始めています。

というのも、季節はクリスマスに向かっていこうとしているのに、

相変わらず夏の東北にとどまっているからです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新潟を離れた後、一路鳥海山に向かいました。

鳥海山、なんと素敵な名前でしょう?

小学校の地図帳に等高線の図例として載っていて、

存在していない架空の山としてあこがれていました。

名前からして、中国あたりの山のようでもありました。

この名前が現実味を帯びたのは月山に登ったときに、

はるかにその雄姿を望んだ時でした。

月山より険しく、凛としてそこにありました。

それから、何年経ったでしょう。

やっと望みがかない、登ることが出来ました。

鳥海山の高さは2236メートル、月山1984メートルより少し高めです。

残念ながら、この高さのごろ合わせを見つけられていません。

山の中腹にある山小屋を朝、5時に起き、出発です。

行程は5時間ずっとのぼりが続きます。

しばらく歩くと、残雪に行き当たりました。

さすがに東北です。

この夏時に残雪があるということは、

この雪は一年中残っているということです。

昨日お風呂で仕入れた情報では、

「雪渓はアイゼンがないと進めないかも、とガイドの人の言われた。」

とのこと、いけるところまで行ってダメだったら引き返してこよう、

と進みます。

途中で、農業をしている人と出会い、話をしたり、

速く昇っていく若者を追いかけたりと、5時間の道のりを進んでいきます。

 

もう少しで頂上というところにとてもいい休息場所を見つけました。

頂上ではたくさんの人がいて

ゆっくりできないだろうからここで一休みです。

とても見晴らしのいいところです。

山すその方まで草原がずっと続きます。

月山はそのはるかかなたにあるはずですが、

残念ながら霞んでみることが出来ませんでした。

頂上では多分一人になる場所はないだろうから、

しばらくそこで日向ぼっこです。

持ってきたおにぎりを食べながらピクニック気分です。

*   *

と、ここまで書いてその夜夢を見ました。

どこか分かりませんが、

とても高い山の頂上に岩をまたいで座っています。

そこは馬の背ほどの幅しかなく、

左右は何千メートル下まで真っ逆さまです。

他の人たちも同じようにまたいでいます。

すぐ横の岩に乗ろうとしたら、他の人たちから

「横の岩は危ないから乗らない方がいい」と言われました。

確かに手をかけた小さい石は岩から離れ、

乗っている岩はずり落ちそうにぐらつき始めました。

そのまま真っ逆さまに落ちそうで、用心しながら、

そっと真ん中の岩にたどり着き、

またいだまま後ずさりして頂上を降りていきました。

やっぱり、鳥海山のことを思い出してしまったのでしょうか?

*   *

かなり時間がたってしまいました。

そこから旧頂上を目指し、次に新頂上に向かいました。

途中、雪渓を渡ることになりました。

ロープが張ってあったので、それをつかみ、

恐る恐る用心して渡っていくと、山頂小屋にたどり着きます。

そこから大きな岩が崩れた積み木のように積み重なっている岩を登ります。

これは、噴火の時に火口から吹き飛ばされて積み重なったものでしょう。

登り口のところから登ったつもりですが、

どうもわけわからないところに出てしまい、

先は崖で行き止まりです。

頂上は目と鼻の先です。頂上には人がいます。

なんとか、横周りをして人が歩いていそうなところまで出ると、

あとは白いペンキで岩の上に絵が描かれた矢印を頼りに登っていきます。

まるで、キューブ迷路のようです。

鳥海山であれば、鳥の巣の迷路かもしれません。

やっとのことで頂上にたどり着きました。

そこには、お父さんと一緒に小学生の男の子が登ってきていました。

「そういえば、子どもたちとは山に登らなかったな。」と、ふと思いました。

月山のなだらかさとは打って変わって荒々しいイメージです。

どこも頂上はこのように荒々しい感じなのでしょうが。

帰りの道は途中まで違うルートで降りていきました。

何度か雪渓を横切るルートです。

誰か、雪渓の上をずっと降りていっていました。

登山道を歩く私よりはるかに早く降りています。

いつしか、気が付くと右ひざが痛くなっていました。

お兄さんについていったことで無理をしたのかもしれません。

最後は、足を引きずりながらなんとか降りてきました。

鳥海山 フーフー寒ー(2236m)が今のところ語呂合わせの限界です。

 

次は白神山地だ!

厳しい研修は続きます。

 

2017.10.19 井手芳弘

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